超金融緩和「2・2・2」、黒田日銀の乾坤一擲

異次元の金融政策で問われる効果と副作用のバランス

金融緩和で、企業や家計のおカネの動きは変わるか

足元の消費者物価指数は前年同月比でマイナス0.7%だが、今後の物価の見方に変化は見られる。直近の消費動向調査によると、1年後に物価が上昇すると答えた世帯の割合は69.5%と1212月の59.6%から拡大した。ただ、この割合はガソリン価格の上昇など、身近な価格動向に影響を受けやすいとされており、日銀の金融緩和期待で物価予想がどこまで高まったかは不明だ。

4月1日に日銀が発表した「生活意識に関するアンケート調査」によると、景況感DI(「良くなる」-「悪くなる」)はプラス6.8と、リーマンショック以後で初めてプラスに転じた。1年後の物価に対する見方も「上がる」と答えた人の割合が70%台に上昇するなど、アベノミクス効果で消費者のマインドが変わってきていることは確かだろう。

ただし、同調査で「1年後と現在の支出を比べると」という質問に対し、「増やす」と答えた割合は4.8%(前回調査は4.6%)とほぼ変化なし。また、物価上昇の感想について「どちらかと言えば、困ったことだ」と答えた人の割合が全体の80%を占めている(前回調査は85%)。 賃金上昇といった具体的な所得の拡大が実感できなければ、こうした数字が大きく変化しそうにない。

MB拡大のために急速に長期国債の購入を増やしても、企業や家計におカネが降ってくるわけではない。国債買い入れの対価として支払ったおカネは民間金融機関が日銀に持つ当座預金の口座に振り込まれるだけ。あくまで大量の資金供給先は民間金融機関だ。1日に公表された日銀短観でも、2013年度の全産業ベースの設備投資計画は前年度比で3.9%減少している。今後、企業の投資行動が実際にどこまで変わるかも大きなポイントだ。

市場では「金融緩和期待は折り込み済み」という見方が強かったが、今回の決定内容が公表された4日の1340分以後、円安が進み日経平均株価は上昇に転じた。ひとまず、市場の期待はつなぎとめたという格好だろう。だが、企業や家計のおカネの動きが今回の金融緩和でどこまで変わるのかは未知数。白川日銀とは装いをガラリと変えた黒田日銀による超金融緩和のアプローチは何をもたらすか。前代未聞の超金融緩和だけに、市場との対話のみならず金融政策のリスクや副作用の注視がこれまで以上に必要になる。

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