西武秩父線は本当に収益力がないのか サーベラスが廃線を提案する路線の採算性を分析

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なかなかイメージが涌きにくいが、たとえばJR山手線で106万0497人/日キロ。西武鉄道全体は13万3379人/日キロとなっている。地方のローカル線だと、たとえば静岡県を走る大井川鉄道で717人/日キロ、千葉県の房総半島を走るいすみ鉄道が516人/日キロとなっている(数字はすべて2010年度)。

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西武秩父線は11年度の数字を基に推計

その「関東中小私鉄の輸送密度と損益」をまとめた(右図参照)。西武秩父線は池袋線と合わせて通過数量が公表されている。西武秩父線の区間だけの通過数量の数字はないが、駅間ごとの通過人員のデータがあるため、東洋経済オンラインはこれを基に試算した。。西武秩父線は8258人/日キロだ。数字が公表されている多摩湖線は2万1425人/日キロ、多摩川線1万9158人/日キロ、山口線1836人/日キロとなっている。なお、国分寺線は乗降客数の振り分けが試算しにくいため割愛した。

この通過数量と同等の規模感を持つ関東の中小私鉄の損益と比べることで、採算ラインを読み取ることができるだろう。表には関東の中小私鉄会社の鉄道事業の損益を明記した(あくまでも鉄道事業のみの数字。鉄道会社はバス事業や不動産事業も行っており、企業全体の業績とは異なる)。

2億円近い黒字を出す伊豆急行と同レベル

これを見るかぎりでは通過数量が1万人/日キロを超える鉄道会社はおおむね採算が取れていることがわかる。2万人/日キロを超える、多摩川線や多摩湖線が不採算路線だとは考えにくい。西武秩父線についても、通過数量が近い箱根登山鉄道や伊豆急行が2億円前後の黒字を計上しており、赤字を垂れ流している路線を想像することは難しいだろう。なお、西武グループの鉄道会社である、伊豆箱根鉄道は1.2万人/日キロで採算ベースに乗せている。

山口線は通過数量こそ低いが、西武ゆうえんちやユネスコ村、西武球場を結ぶレジャー路線の色彩が強い。類似の数字としてケーブルカーの数字を参考までに載せた。

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