安いのに上がらない日本株が水準を変える日 いよいよ10日後に迫った日米金融イベント

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日本株が世界に比べ割安なことはいくつかの現象で証明できる。まず予想PERは日本の14倍台に対して、過去日本よりも割安であったドイツが今や16倍台、米国は20倍台になっている。各国で違う税率や減価償却率の影響を受けるPERでの国際比較は不適当かも知れないが、株価キャッシュフロー倍率で見たらどうか。

世界の株価が1株当たりキャッシュフローの何倍まで買われているかを見ると、日本の7倍に対して先進国平均は11倍台だ。1株当たりキャッシュフローとは税引き後利益+減価償却費で、減価償却費を元に戻してしまえば世界で違う償却率の影響を受けにくく国際比較が合理的に可能だ。さらに昨年末から10%前後上がっている米英独株に対して、日本は逆に10%下がっている。

日銀の追加緩和と米利上げ

このようなことになっている理由は、2013年には現物先物合計で16兆円買い越した外国人筋が、昨年から10兆円の売り越しに転じていることと、円高の影響で業績の先行き見通しが悪いからだ。ただし、日本の業績は円安になれば良いほうに変わり、業績が良くなれば外国人買いが戻って来る。

日銀決定会合追加緩和―FOMC利上げ―円安―外国人買い本格化となれば日本株の水準が変わる。その意味で来週(20〜21日)に開催する日・米金融政策の決定会合は、アメリカ株の趨勢だけでなく、日本株の割安脱却の道が見えるかという点で最も重要な注目イベントだ。

先週末9日のダウは394.46ドル安の1万8085.45ドル、ナスダックは133.57ポイント安の5125.91ポイントと久々の大幅安となった。ボストン連銀のローゼングレン総裁が講演で、金融政策を引き締めていくのが適切だと述べたためだ。FOMCメンバー中ハト派で知られる同総裁の「豹変」に株式市場は大きく反応した。

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