(このひとに5つの質問)安東泰志 ニューホライズンキャピタル(NHC)会長

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(このひとに5つの質問)安東泰志 ニューホライズンキャピタル(NHC)会長

かつてフェニックス・キャピタルを率い、三菱自動車の資本注入で注目を浴びた。今回、新たなファンドの第1号案件として日立化成工業の子会社を買収。今後の狙いを語った。(『週刊東洋経済』11月17日号より)

独立系ファンドは産業再編の触媒になる

1 なぜ日立ハウステックを第1号案件に選んだのでしょうか。

われわれは産業再編促進ファンドで、重点投資先は今後再編が予想される電機・IT、流通の2本柱。流通は百貨店、スーパー、コンビニ、専門店、と主役の交代が10年単位で起きる。電機は一番手がついていない業界の一つ。総合電機は日本に特殊な業態だが、ファンドが入ればグループ再編がスムーズにいく。

これらの業界中心に、現時点で(話し合いが)4合目、5合目まで行っている案件は10件くらい。総合電機とは経営幹部レベルとかなりの話をしている。数ある案件の中で、今回は「日立ハウステックをやってみようか」となった。

2 上場を視野に入れているようですが、それに向けた施策は?

未定だが、仮に上場するとすれば、3期黒字を確保、準備に2期で計5年かかる。上場は社員のモラル向上にいちばんいい。ただ、ほかの選択枝がないわけではない。現在調査中だが、日立ハウステックは技術的には同業他社に劣らない。早く大手のTOTO、INAXなど上位に比肩する収益力をつけることが株式上場の大前提だ。

3 ハウステックに用いる具体的な企業価値向上の手法とは?

フェニックス・キャピタル時代の三菱自動車やティアックなど、多くの投資先でやったことと基本は変わらない。全役職員へのインタビューを通じた問題整理。開発、物流、営業など、組織の壁を越えて社員が一緒に話をする。三菱自動車では1万人以上にインタビューをした。

そうは言っても「飛び道具」はいる。一般論だが、役職員と話し合う中で、必要に応じて減価償却費などの固定費削減や同業他社との提携、仕入先や納入先との垂直的な提携を検討することが多い。役職員とわれわれの目線を一致させるために、いつかの時点でストックオプションを導入していくのも効果的かもしれない。

4 投資ファンドが企業の価値向上に介在する意義とは、どのようなものでしょうか。

いきなり同業他社と合併というのは、企業文化の違いなどから優秀な社員が流出するなど、ドラスティックな事態になる可能性もある。独立系ファンドが産業再編の「触媒」として介在することで、より円滑に、役職員が自分たち主導で会社を再生し上場を目指すことができる。日本企業には米国流のアプローチよりも、英国流のマイルドで自主的な手法が合うのではないか。

5 現在のNHCの運用資産規模はどのくらいですか。

今回の件にいくら投じるかは契約上言えないが、総額では200億~250億円の運用枠がある。

(撮影:梅谷秀司)

あんどう・やすし
1958年生まれ。東京大学経済学部卒、81年旧三菱銀行入行。88年ロンドン支店、非日系企業担当ヘッド。2002年にフェニックス・キャピタル創業、CEO就任。06年に同社の会社分割により独立。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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