ブラジルのサッカーはなぜあれほど強いのか 日本人にはなかなか真似できない「足」の秘密
そうした子どもたちはきれいに整備されたコートの中ではなく、石がたくさん転がっているような凸凹の場所で遊びます。その知人男性も一緒にサッカーをやったそうですが、裸足ではとても耐えられない痛さで、靴を履かずにはいられなかったそうです。彼はこう振り返ります。
「ブラジルの子どもたちの足はまるでゾウのようでした。足の裏の皮膚が角質化して草履のようになっていて、ごつい指の先に申し訳程度に、小さな爪が埋め込まれているような感じです。それを屈指して見事にボール裁きをする。わずか7~8歳の子どもがです。こんな小さな頃から足の指裁きを覚えるのです」
このようにブラジルにおいては、陸上競技のように前に走るだけではなく、前後左右斜めに動くフットワークを必要とするサッカーに必要な特性を生活の中で鍛え上げられる環境があります。
日本人の足は?
一方、日本人の足はどうでしょうか。私は、日常の施術の中で、患者さんの足から診ていますが、足の親指が小指のほうに曲がっている外反母趾や、土踏まずのアーチが形成できていない人が多いのを、よく目にします。
日本は特に都会に行けば行くほどアスファルトやコンクリートが多く、土の上を歩く生活が少なくなっています。昔は、下駄や草履を履く生活のため、足の指を使って歩くことが多かったですが、現在は靴を履く生活が基準になっています。
そのため、裸足で遊ぶ環境が少なくなっています。スポーツをやる環境が整っているところが多いため、足に負担がかからない=足の筋肉を使うことが少なくなっています。また、ファッションやブランド重視のため、サイズが合わない靴を選んで履くことで、靴の中で足がぴったりとしないため、足の指をそらして靴が脱げないように足の指で靴の隙間を調整する「浮き指」状態になるため、外反母趾と土踏まずのアーチ形成の異常が子どもの頃から始まっています。
足の指には、まず体を支える役割があります。両足で立っていても片足で立っていても、同じように体が倒れないように支えなくてはいけません。そのために、親指の役割は内側に倒れないようにしっかりと踏ん張り、小指は外側に倒れないように支えます。そして、残りの3本の指は体が前後に倒れないようにする役割をしています。
土踏まずには体を支えるという働きと、衝撃を吸収しつつ、走る時には前に蹴るバネの働きも兼ねています。特に土踏まずのアーチの形成が悪い、俗にいう偏平足や甲高(ハイアーチ)の場合は、体をうまく支えられず、バランスを崩しやすくなります。立っていて疲れやすかったりケガをしやすかったり、膝、股関節、腰、肩、首、片頭痛など健康面での障害にも大きく影響します。
一方、小さい頃から裸足で遊んでいるブラジルの人たちには、外反母趾や土踏まずのアーチの異常は起こりにくくなっています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら