日本株「上昇後に下落」の展開を見込むわけ 市場参加者の「米景気・金利観」が定まった

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なお、「魔法」という言葉を使ったが、議長・副議長が、市場を惑わしだましているという意味ではない。米国経済の強さやそれに伴う利上げの必要性を、両者が真摯に語り、それを市場が真正面からがっしり受け止めた、と考えている。金融政策は口先のテクニックではない。あるべき道を地道に進むことが、結局は政策への信頼感を高め、「魔法」としての効果を生むのだ。そうした金融当局者や市場参加者の、王道とも言える姿勢は、どこかの国とは大違いかもしれない。

今週の日経平均株価は、こうした米国景況感の改善や、米株価・米ドルの堅調推移を受けて、上昇基調が期待できよう。予想レンジとして、1万6900~1万7500円を見込む。こうした堅調地合いは、さらに翌週も続き、今月中に1万7500円を超える展開もありうるだろう。その先は、どうなるのだろうか。米国株式市場の予想PERはすでに割高さを示唆している。これは、世界を見渡すと、米国以外に投資先として有望な国が見出しにくい、という事態の表れではあるが、PERの調整は不可避だろう。

時間調整と価格調整のシナリオ

調整のシナリオは2つありうる。一つは「時間調整」だ。連銀は、経済や市場に配慮した慎重な利上げ姿勢を堅持することで、長期金利の上昇が抑制的になる。このため米国株価は、金利上昇懸念による大幅な下落を見せず現状近辺で持合い推移する。株価が企業収益の上昇を待つ形で、時間はかかるがPERが低下していくというものだ。この場合、日本株にとっては、米国市場の動向はプラス要因にはならないが、マイナス要因にもならないだろう。

もう一つのシナリオは「価格調整」だ。金利先高観が強まり、長期金利が急上昇する。株式市場においては、金利上昇懸念が景気回復期待に勝り、株価が短期的に下落する。振り返ると、昨年8~9月と今年1~2月は、金利上昇懸念はなかったが、主に海外要因により、価格調整の形でPERの反落が生じている。このシナリオでは、米国株価の下振れを懸念して米ドルも下落しうる。すると米国株価、米国長期債券価格、米ドル相場のトリプル安となる。

ただし、昨年8~9月と今年1~2月は、主要な米国株価指数の下落率は15%前後にとどまっている。また、短期的な株価下落の後は急速に回復し、下落前の水準を取り返した。価格調整シナリオが実現しても米国株価が下落し続ける、という展開は見込みにくい。

次ページでは年内の日本株は…
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