サラリーマン節税の「落とし穴」 副業が赤字なら、誰でも節税できる?

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実態のない赤字で税金が還付されるはずはありません。還付されていた税金を国に返還するのはもちろんのこと、本来支払う必要のない高額のペナルティ(加算税・延滞税)も支払うはめになったでしょう。

その経営コンサルティング会社のホームページには、「夢の実現に、無駄なお金(=払う必要のない税金)を使ってはいけません」という内容の記述がありましたが、今となっては、その言葉を皮肉として受け止めるしかないようです。

それでは、サラリーマンの副業の赤字による節税は、今後認められなくなるのでしょうか?結論を言えば、今後もサラリーマンの副業の赤字による節税は可能です。 ただし、その副業が、ある条件を満たしている場合に限られます。

「本気度」で決まる副業での節税

副業の赤字を節税にいかすためには、その副業に「事業」としての実態がきちんとある、という条件が付きます。事業としての実態がなければ、たとえ副業で赤字が出たとしても節税に使うことは認められません。

では、そもそも事業に実態があるかどうかは、どのように決まるのでしょうか?
事業に実態があるかどうかは、その人の「本気度」によって決まります。

これは根性論ではけっしてありません。実は、サラリーマンの副業が事業になるか否かは、法律に規定がなく、解釈に委ねられているグレーゾーンの世界です。

サラリーマンの副業が事業として認められるためには、複数年にわたり継続して収入が得られることが最低限必要です。さらに設備の有無や、費やした精神的・肉体的労力なども考慮した上で、最終的には社会常識で判断すると判例では言っています。

「会社員は世を忍ぶ仮の姿」、「いずれはこれ一本で食っていく」くらいの気合をもって、副業に真摯に取り組んでいれば、事業とみなせる可能性があります。

逆に、本業の片手間でやっているケース、節税目的のためだけで行っているケースは、副業に事業としての実態があるとは一般的にみなされないでしょう。
なお、「サラリーマンの副業は事業に一切該当しない」との説明も、ネット上で見受けられます。

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