ドルの下値は1ドル94~95円、その後100円へ ディーラー歴20年の達人が読む為替
年度末前後の需給要因に注意
3月20日には、日本銀行の新しい正副総裁が誕生する。一方、3月末は日本の年度末に当たり、さまざまな為替の需給要因が交錯する。典型的なのは、年度末に海外に保有する企業の利益を国内に戻すための円買い外貨売りである、いわゆる「レパトリ玉」も出やすくなる。この海外の利益は、一説には20兆円以上あるとも言われている。
また4月3~4日には、新総裁のもとでの最初の日銀政策決定会合がある。市場では、追加緩和への期待が膨らんでいる。このように、オプションの期日は市場のイベントをカバーできるように設定されていることが多いので、イベントまでには市場の期待感とオプションに絡む需給など、さまざまな要素が影響を与えそうだ。
とはいえ、オプションの影響が高まる前に95~96円のゾーンを上抜けしたために、100円付近までの上昇が視野に入ってきた。前述のように、例年は3月末の年度末に向けて年度末特有の需給が出やすい時期になってくる。現状では、96円台というドル円のレベルは輸出勢にとってはありがたいレベルだ。一方、輸入勢にとってはありがたくないレベルにいるわけで、どちらかというとドルの売り方は、余裕がある状況になっている。
また4月3~4日の日銀政策決定会合では、追加緩和期待が高い。とすれば、そこまでは円売りの流れが続く可能性が高い。一部には、新総裁が誕生する3月20日以降に臨時政策決定会合を開催するといった期待もでていた。
ここのところ「口チャック」で静かになってはいるものの、95円~100円のゾーンは、「リフレ派」と呼ばれていた人たちがターゲットにしていたレベルだ。まさにそのレベルが近づいてきている。90~95円のレベルで緊急G7声明、G20での声明がでたことを考えると、95円~100円を超えてくる円安にかんししては、再び各国からのけん制発言がでることも予想される。
ただ、この円安の流れは多少のけん制発言があっても、また多少の調整があっても、流れを変えるほどの材料にはならないだろう。ドル円は、日銀政策決定会合のある4月前半まで94円~95円を下固めしながら、100円を目指していくことになろう。
(撮影:尾形 文繁)
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