ドルの下値は1ドル94~95円、その後100円へ ディーラー歴20年の達人が読む為替
要するに、昨年11月から2月まではドル安だったが、円はもっと弱く円の独歩安だった。その後はドル高円安と、状況は変化していた。11月15日以降、円安をけん引したのは、主に日本の材料だ。衆議院解散、自民党大勝、安倍内閣成立、さらにアベノミクス浸透の流れの中、日本銀行のさらなる緩和期待が円安の流れを加速させている。特に日本銀行は今回のアベノミクスの中では重要な位置を占めるキープレーヤーになっているために、今後もその動きは要注意だ。
2月以降は、ドルをとりまく状況に変化が起こった。英国のさらなる緩和期待、イタリアの選挙結果での政治の混乱などを材料にポンドやユーロは下落基調となり、ドルは上昇を開始した。つまり、円安でもあるが円以外ではドル高が顕著になった一方、円独歩安の流れが続いている。
オプションが相場に与える影響とは?
もし、95~96円のゾーンを先週のうちに抜けることができなければ、ドルの上昇は押さえられて、90~95円のレンジ相場を4月の初めぐらいまで続けていた可能性も高い。95~96円にかけては「バリアー」と呼ばれる、消滅条件付きのオプションの権利行使価格が並んでいた。
通常、このオプションの手前では上昇局面では売りが、下降局面では買いがでてきて相場の上下を押さえ込んでレンジになりやすくなるという影響をマーケットに与える。オプションがマーケットに与える影響が大きくなるのは、そのオプションの規模そのものが大きいか小さいか、そのオプションが終了する期限までの時間がどれぐらいあるかということが重要になる。
特に時間的な要素の場合は、オプションが期日を迎えるまで2週間を切ってくると、その影響度がケタ外れに大きくなる。逆にオプションの期限が2週間以上ある場合は、相対的に影響が小さくなる。今回、この95~96円に設定されていたオプションバリアーは3月末から4月上旬ぐらいまでに期日が設定されていたため、もし95~96円のレンジを抜けることなく18日以降になってきた場合、オプションの影響力が大きくなり、ドルの売り需要が大きくなるために、95~96円をたやすく上抜けすることが難しくなった可能性が高い。
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