iPhoneも使用、でも誰も知らないアルミの謎

需要は年5~7%の高成長、長期では供給リスクも

このような高い需要の伸びがあれば、需給が引き締まり価格も上昇しても良いはずだ。だが、実際には過去10年間で、供給が需要以上に伸びたため、2000年以降のコモディティブームでもアルミ価格は約2倍にしか上昇しなかった。「2倍」は絶対値としては大きいかもしれないが、銅、金、原油などが軒並み3~5倍の上昇を見せているのに比べると、アルミ価格は低位安定していると言わざるを得ない。

今回のリポートでは、短期・長期と2つの期間でアルミ市場について論じてみたい。短期的には、引き続き供給過剰と大量在庫により価格上昇の可能性が低いと言われている。しかし、長期的には様々な供給制約が価格に上昇圧力を与える可能性が指摘され始めている。

まず、短期的な価格予想の前に2012年を振り返ってみたい。当社では2012年に年初2000ドルから2500ドルまでの価格上昇を予想していたが、実際には1827ドル~2361ドルとほぼ横ばいで推移し、2000ドル台での年越しとなった。

2012年は3つの原因で減産が進まず

上昇を阻んだ要因は、予想していたほど減産が進まなかったことにある。2012年1月上旬に相場低迷とコスト高により赤字となっていたアルミ製錬所の減産が発表されたが、それ以降、目立った減産は行われず、結果として相場は低迷することとなった。

減産が行われなかった原因は3つある。1つ目は、現物プレミアムと呼ばれる増値金(通常、アルミ取引においては、LME(ロンドン金属取引所)相場に加えて、それぞれの地域によって異なる現物プレミアムが付加されて取引される)が、約100ドルから約250ドルまで上昇したことである。上昇分はアルミ製錬所の利益となり、操業の黒字化に貢献した。

2つ目は、政府や電力会社がアルミ製錬所を支援したことである。オーストラリアや中国での支援が具体的なニュースとして流れたが、雇用の確保や安定的な電力購入者の確保の観点で、これら支援が行われた。特に雇用問題は世界的なものであり、西ロシアの減産が進まない原因も雇用問題にあると言われている。3つ目は、LMEアルミ相場が下落しなかったことである。1つ目と2つ目の理由により、約300~400ドル/トンの追加利益を得たアルミ製錬所であるが、その分だけ相場が下落してしまえば、やはり減産に踏み切らざるを得ない。しかし、LMEアルミ相場は1800ドル台までは下落したが、年初から比べて200ドルであり、減産に踏み切って一時損を出す決断を下すには至らなかった。

次ページ当面は現在のトレンド継続へ
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