フェラーリの4人乗り「GTC4ルッソ」の実力 「競合はレンジローバー」SUVブームへの回答

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世界で最もモダンなコクピットデザインと言えるまでになったインテリア

インテリアも一新され、今、世界で最もモダンなコクピットデザインと言えるまでになった。相変わらず吟味されたマテリアルは、レザーハイドやアルミニウムがふんだんに使用されているが、ダッシュボードの位置を下げたり、最新の小径エアバッグ付きステアリングホイールを使ったり、小物の収納スペースを増やしたりと、パッセンジャーの快適性を引き上げる工夫も散見される。唯我独尊の世界観を誇示していきたフェラーリも、ついに、細かな気遣いをするようになったというわけだ。

贅沢なネーミングの意味するところ

それにしても、贅沢なネーミングだと思う。“GTC”(グランツーリズモ クーペ)と“Lusso”(伊語で豪華の意)は、いずれも50年代から60年代にかけての人気モデルに付けられていた名前であり、いちどに二つも消費してしまうなんて、正に贅沢=ルッソ、気前がいい。間に挟まれた数字は、前述したように、4人乗りの4WDを表していて、その実用性の高さが冒頭の、「ライバルはレンジローバー」という担当者のフレーズに繋がった。

フェラーリ新型GTC4ルッソを試乗──“ライバルはレンジローバー”の理由【ワインディング篇】

そもそもフェラーリの本格的なロードカーといえば、50年代半ばに登場した、2ドア4シーターの250ヨーロッパGTにその起源を求めることができる。そう考えれば、V12エンジンをフロントに積み、フル4シーターのGTとしたこの新型GTC4ルッソこそ、“跳ね馬ロードカーの正統”、と言えるのかもしれない。

マラネッロ謹製ロードカーの正統ゆえ、デザインのみならず、メカニズムの進化も、もはやフルモデルチェンジ級だ。4RMと呼ばれる独特な4WDシステムこそFFと同じだが、後輪操舵の制御を新たに加えるなど、劇的に進化した。そのほか、数々の動的な制御システムも最新モードへと一挙にアップデート。6.3リッターのV12自然吸気エンジンも、特別限定車F12tdf(ツール ド フランス)で得た知見を採りいれてブラッシュアップされており、いっそうの高性能化と効率化が計られている。

内外装とメカニズム、両方で大幅な進化をみた。なるほど、気前よく歴史的名車の名前を二つも同時に与えただけのことはある。

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