フェラーリの4人乗り「GTC4ルッソ」の実力 「競合はレンジローバー」SUVブームへの回答
「フェラーリ フォー(FF)」の後継車として、今年3月にジュネーブでデビューを飾ったニューモデル「GTC4ルッソ」。フェラーリにおける現代の“真のラグジュアリィ”とは何か。北イタリアで試乗した。
ライバルは、レンジローバー
北イタリアのスッドチロル(南チロル地方)で行なわれた国際試乗会。ディナーの席で筆者の隣に座ったGTC4ルッソの商品企画担当者が、自信たっぷりにこう言い放つ。「ライバルは、レンジローバーですよ」。
フェラーリの人間が、具体的な車名を挙げてライバルだというのも稀なら、その相手が、いかにロイヤルワランティ(王室御用達)のブランドとはいえ、英国のレンジローバーというSUVであるというのもまた異例であろう。世界中のジャーナリストから何度も聞かれたことだろう、「フェラーリもSUVを造る予定はないのですか?」という質問を先取りしての、それは宣言だったのかもしれない。
SUV=スポーツで、ユーティリティがある、ヴィークル。何も、背が高いことや、ロードクリアランスの大きいこと、だけがSUVの必須条件ではないだろう。そう考えれば、この新型フェラーリもまた、世界中のSUVブームに対するフェラーリ流の回答、と言うこともできよう。
GTC4ルッソは、そのシューティングブレークスタイルで世界中のクルマ好きに衝撃を与えた、フェラーリ フォー(FF)の後継モデル(ビッグマイナーチェンジ)だ。4シーター4WDという基本的なコンセプトやデザインシルエットなどはFFを引き継ぐものの、たとえばボディパネルにはFFと同じものなどまるでなく、ルーフラインまで変えられた。見た目のスポーティさがより増して、FFよりもアグレッシブな佇まいである。