原宿駅建替で都内最古の木造駅舎はどうなる 明治神宮と関係深い瀟洒な洋風建築の運命は
オリンピックが開催される2020年、明治神宮も創建から100年を迎える。人工的に植樹された“鎮守の杜”は、今や原生林のような深い森となっている。鉄道林の生みの親でもある本多静六の遺産と思えば、森が原宿駅を守っているように思えてくる。都内最古のJR木造駅舎である原宿駅舎もまた、東京オリンピックから4年後の2024年、竣工から100年を迎える。そんな歴史的背景を持つ原宿駅の駅舎をどうすべきか。現駅舎の今後については、地元や渋谷区などと検討したうえで決定するという。
駅の意義は“利便性”だけではない
JR東日本が発表した工事計画の図面によれば、新駅舎が建設されるスペースに、現駅舎の敷地は干渉していないように見える。できれば今の姿のまま、新駅舎と併用して使い続けて欲しいというのが筆者の願いである。たとえば、現駅舎の西側を改修のうえ新駅舎の改札外コンコースと繋げ、表参道口の一部として使用するのはどうだろうか。
駅という空間、駅舎という建物が、単に利便性の上のみに成り立ってゆくものだとしたら、その社会はあまりに無味乾燥としているではないだろうか。駅はそこに足を運んだ多くの人々にとって、様々な記憶や想いが積み重なってゆく場所だ。
100年前の姿に復原された東京駅・丸の内駅舎が人々に感動を与え続けるように、明治神宮の深い森を背景にした瀟洒な原宿駅舎の姿は、いつの時代も人々に清涼感を与えてくれるだろう。東京という大都市のなかに、そんなホッとするような駅空間がもっと多くあっても良いと思う。
(写真はすべて筆者撮影)
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