LINE前社長が次に挑む「スマホ動画革命」 森川亮氏が仕掛ける女子向け動画とは?

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そこで、役に立つコンテンツであり、かつ、賢さもさりげなくアピールできる「ハウトゥ動画」に着目。役に立ち、シェアしたときにユーザーが褒められたりすると思われるような動画を作ろう、と昨年12月ごろから照準を絞って拡充すると、再生数は大きく伸びていった。動画はコンテンツであると同時に、コミュニケーションのツールとして楽しむものでもある。森川氏自身もそれを認識したという。

今後、収益化の軸となるのは動画によるeコマースと動画広告だ。

中国では有名人が動画で商品を紹介し、ユーザーはその場で商品が買える仕組みのサービスが伸びている。日本でも、俳優の速水もこみちさんが紹介する料理グッズなどを展開している。eコマースについては、4月に出資を受け、業務提携するTBSテレビと連携する考えだ。

動画広告は、既存のものとは一線を画す。見た後に必ず役に立つ、繰り返し見たくなる「ハウトゥ動画広告」を目指すという。つまり、広告でありながら通常のコンテンツと同様にユーザーに喜ばれるものを作れるかが、課題になる。また、TBSとは若年層向けのテレビCMについて、C Channelで先行して流し、若いユーザーの反応を見る、といった連携も考えている。「数百億円と大きいファッション誌の広告や、テレビのF1層向けに出稿していた広告主の予算も獲得していきたい」(森川社長)

原宿の地から世界に通じるサービスを

有料、無料を問わず、動画サービスは群雄割拠の状態だ。現在、米アマゾンや米ネットフリックスなどが日本に上陸し、独自コンテンツを広げている。また、民放各局も他社との提携を加速し、動画配信に本腰を入れ始めた。最近はスナップチャットなどの動画SNSも人気を集めている。C Channelは短尺、縦型、ハウトゥ動画といったスマホに最適化した特徴を磨き、若い女性の支持を広げられるかが課題になる。

「ビジネスの雰囲気が強く、高いビルは嫌いだった」と語る森川社長。LINE社長時代よりも、よく笑う姿が印象的だった

一大企業に成長したLINEからベンチャー経営者に転じた森川社長。「LINEのときも自由にやらせてもらっていたし、大企業の社長という感覚はなかった」というが、やはり変わったところもあるようだ。たとえばプレスリリースの問い合わせ先が森川社長なのは、本人が書いているからだ。また、顧客サポートも担当し、社長自らユーザーへの対応に当たっている。森川社長は「LINEが小さかったころもやっていたから、昔に戻った感覚」と笑う。

森川社長は、本社のある原宿がお気に入りだ。「のんびりした雰囲気があり、新しいものが生まれる場所。力をもらっているし、ここから新しい文化を作り出すことができればいい」。

LINEに続き、動画サービスも大きく育て上げられるか。起業家としての挑戦は始まったばかりだ。

(撮影:梅谷秀司)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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