パリ女性の美意識は「闘争の歴史」が育んだ わずか半世紀前まで本当の「自由」はなかった

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日本人の現代に通じる美意識は、鎌倉武士の「命惜しむな、名こそ惜しめ」からのものといわれます。単純勁烈というか、裏表のないすっきりした(唐桟の着流しのような)ものを感じます。

これに対して、旧世界というか、大陸のそれは重層的です。成熟した文明の多面性を感じます。――狡猾でもあり、純粋でもあるというか。純粋であるのは、権利の観念を、与えられるものではなく勝ちとるものとしていることでしょうか。

文明は世界を均一にしたように思えますが、培われた文化の重みは感性の違いともなります。テロの思想などは論外としても、互いの豊潤な歴史を理解することの大切さを忘れてはならないと考えます。

アントワネット、男勝りで気風のいい「辞世の句」

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最後はやはり、アムールで締めくくりましょう。フランス革命といえば“ベルばら”です。わたくしも池田理代子さんの『ベルサイユのばら』は大好きでしたし、宝塚歌劇もただうっとりと、乙女の時代を過ごしました(汗)。

劇中で断頭台に向かうマリー・アントワネットは「さようなら、パリ。さようなら、ベルサイユ。さようなら、フランス!」と叫びます。男勝りの気風のいい辞世の句でした。

実在の人物であったアントワネットの愛人、スウェーデンの伯爵フェルゼンは、妹に宛てた手紙の中で「この人のものになりたいと願うただ一人の女性のものになれないのなら、わたしは誰のものになるつもりもない」と記しています。まぁ、なんてセンシュアルな気概に満ちた言葉ではありませんか!

では、皆さまよき夏休みをお過ごしください! Bonnes vacances (ボン・バカンス)!

岩本 麻奈 皮膚科専門医

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いわもと まな / Mana Iwamoto

一般社団法人・日本コスメティック協会代表理事。ナチュラルハーモニークリニック顧問医師など。東京女子医科大学卒業。慶應病院や済生会中央病院などで臨床経験を積んだ後、1997年に渡仏。美容皮膚科学、自然医学、抗老化医学などを学ぶ。現在は、パリの中心に居を構え、欧州大手製薬会社やコスメメーカーなどのコンサルタントを務める傍ら、さまざまなメディアを通して美容情報を発信中。3人の成人した息子がいる。著書は『女性誌にはゼッタイ書けないコスメの常識』『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』ならびにその携書版である『生涯恋愛現役』(以上ディスカヴァー・トゥエンティワン)など多数。オフィシャルブログはこちら

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