パリ女性の美意識は「闘争の歴史」が育んだ わずか半世紀前まで本当の「自由」はなかった
日本人の現代に通じる美意識は、鎌倉武士の「命惜しむな、名こそ惜しめ」からのものといわれます。単純勁烈というか、裏表のないすっきりした(唐桟の着流しのような)ものを感じます。
これに対して、旧世界というか、大陸のそれは重層的です。成熟した文明の多面性を感じます。――狡猾でもあり、純粋でもあるというか。純粋であるのは、権利の観念を、与えられるものではなく勝ちとるものとしていることでしょうか。
文明は世界を均一にしたように思えますが、培われた文化の重みは感性の違いともなります。テロの思想などは論外としても、互いの豊潤な歴史を理解することの大切さを忘れてはならないと考えます。
アントワネット、男勝りで気風のいい「辞世の句」
最後はやはり、アムールで締めくくりましょう。フランス革命といえば“ベルばら”です。わたくしも池田理代子さんの『ベルサイユのばら』は大好きでしたし、宝塚歌劇もただうっとりと、乙女の時代を過ごしました(汗)。
劇中で断頭台に向かうマリー・アントワネットは「さようなら、パリ。さようなら、ベルサイユ。さようなら、フランス!」と叫びます。男勝りの気風のいい辞世の句でした。
実在の人物であったアントワネットの愛人、スウェーデンの伯爵フェルゼンは、妹に宛てた手紙の中で「この人のものになりたいと願うただ一人の女性のものになれないのなら、わたしは誰のものになるつもりもない」と記しています。まぁ、なんてセンシュアルな気概に満ちた言葉ではありませんか!
では、皆さまよき夏休みをお過ごしください! Bonnes vacances (ボン・バカンス)!
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