電気自動車ビジネスにベンチャーが次々参戦 慶応ベンチャー、こだわりの京都産、そして、改造EV
DIY感覚で作れる改造EVの可能性
ビンテージカーをEVとしてよみがえらせる──そんな試みを行っているのが、横浜市のオズコーポレーションだ。
同社の古川治社長は、「1960~70年代のビンテージカーはデザイン性が高い一方、排ガスや騒音の問題がある。それに古いメカだといざ動かそうとしたときに動かない。これらはすべて『EV化』することで解決できる」と語る。
古川氏はもともと、自動車のアフターパーツ販売や改造などを手掛けてきた。ただ、アフターパーツの業界は車の改造によって騒音や排ガスの問題を助長しており、世の中の環境意識の高まりに逆行する。そんな現実に疑問を抱いたことが改造EVの製作を始めたきっかけだという。
ビンテージカーのEV改造だけではない。古川氏は改造EVの普及に向けて、独自の取り組みにも精を出している。
一昨年に開発した「ボルトオンEV」キットは、モーターなどの機器を一体化させたもの。対象はまだごく一部の車種だが、エンジンを外して、キットを車体にある既存のネジ穴にボルトで取り付ければ、EVの完成というわけだ。
現在の販売先は自動車整備業者や自治体など。「改造するノウハウのない業者に、まず作ってみようと思ってもらいたい。DIY感覚で皆が気軽にEVを作れるようになれば」と古川氏は期待する。
EVビジネスに詳しい村沢義久・東京大学総長室アドバイザーは、「改造EVはCO2対策として期待できる。最終的には日本全国で年間100万台の生産を目指したい。1カ所で年間100台、拠点が1万カ所あれば可能だ。まだまだコストはかかるが、取り組みは確実に広がっている」と語る。
普及への歩みは鈍いEVだが、ベンチャーのEV熱はまだ高い。彼らが市場拡大のきっかけになるかもしれない。
(撮影:風間仁一郎、ヒラオカスタジオ、大澤誠)
(週刊東洋経済2013年2月16日号)
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