医薬品ネット販売、「解禁」の先 ケンコーコム後藤社長に聞く

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医薬品ネット販売が原則禁止されていた過去3年半は、サイト上に商品を出していても、チェックボックスで「離島居住者ではない」「継続購入者でもない」と分かると販売できませんでした。消費者が「この薬を使いたい」と探してきているのに「売れません」とはねつける。これは顧客を、突き放しているようなものです。

そういう状況が一般用医薬品のマーケットをどんどん縮めてきたのではないでしょうか。ネット販売がようやく再開されて、消費者が自分のほしい薬をいつでも入手できるようになるというのが、一つの大きな変化です。

――確かにロキソニンが第1類医薬品、バファリンが第2類医薬品などの分類を、消費者はいちいち把握していませんね。

薬剤師と登録販売者の見分け方も、名札や白衣の丈などの取り決めがありますが、消費者はいちいちそれを気にしてお店に入らない。これでは販売者側の独りよがりな制度でしかありません。こういう状況に、消費者はもう愛想を尽かし始めているのではないでしょうか。それはもう、まったくセルフメディケーションを推進できる状況ではありません。

技術の進歩をなぜ採り入れないのか

――ネットならではの技術で、将来的に可能になることもあるでしょうか。

オンラインドラッグ協会のガイドラインでもいくつか出していますが、まず(箱の中にある説明書きを含め)服用上の注意事項を購入前の画面に出して、確認しやすいようにしています。将来的には、これまで服用してきた薬の履歴も管理しやすくなるでしょう。レジにたくさん人が並んでいる時に相談しにくい、という人にとっては、薬剤師と電話やメールでじっくりやりとりできる仕組みが広まると安心かもしれない。

――処方箋薬もネットで購入できる国がありますが、日本でもそういう流れになるでしょうか。

そうなるべきだと思います。情報通信技術がどんどん進歩する中で、それをあえて使わない理由はない。国民の健康を向上させるために積極的に活用するべきであって、情報通信技術を排除するのはおかしな話です。

それに、ある意味処方箋の方が話は簡単です。お医者さんからすでに指示(処方箋)が出ているので、一般用医薬品のように消費者や薬剤師がどの薬が妥当かを判断する必要がありません。きちんとお医者さんから出されている処方箋だと確認を取り、調剤したものを患者さんに届け、飲み方の指導をする。これは一般用医薬品よりもワンステップ少なく済みます。

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