東京には勝てない。だから「らしさ」を尖らせる スナックみたいなギター教室って?

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どうやって小さな町を拠点に食べていくか。

――この小さな町を拠点にして、これからもフリーランスで食べていけると思いますか。正直言って、僕は不安です。

ギターの技巧や教えるスキルなどの「強み」で勝負したら、たとえばアメリカ人が参入し始めたら太刀打ちできません。あっちはギターが文化として根付いているし、裾野もすごく広いからです。東京にもギターがすごくうまい人がたくさんいる。実際、スカイプを使ってギターのレッスンを提供する人も出始めています。

僕はキャラクターをとがらせて「らしさ」で勝負しなくちゃいけないと思っています。

僕が「らしさ」を一番出せるのが生まれ育った蒲郡です。ギターではなくて「何か」がやりたいという生徒さんが多いので、ギター以外の筋肉がつきますよ。うちはギター教室の格好をした娯楽施設、スナックみたいなものです。

「喫茶スロース」にて。テーブル席を撤去して、3kg釜の大きな焙煎機を設置したという果敢な店だ。
選ばなければ仕事はあるので呼吸するたびに堅実になっていく――。製造業が発達した愛知県の豊かさと限界を象徴したような言葉だ。一度は外に出た人が帰ってくるケースが多いのも「仕事がある」ことが大きな理由になっていると思う。
ただし、チームワークが基本の製造業では、個人の「らしさ」は仕事に生かしにくい。清水さんのように楽しく公私混同していきたい人は、愛知県の質実剛健さを息苦しく感じることがあるのだろう。
仕事にはできなくても、主体的に何かをしてみたい。テレビを見たりレジャー施設で遊ぶのもいいけれど、自由に文化活動をしてみたい。語り合える仲間も欲しい。そんな思いを抱える愛知県人が少なくないことを清水さんは肌で感じているのだろう。ギター教室とコーヒーショップを基盤に、読書会や落語会、英会話教室、編み物教室などを次々に企画している。「好きなものと仕事をマッチングできる場所」を清水さんは自ら創り出したのだ。

 

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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