「締切きっちり」で評価を上げる人の裏ワザ 「期限を守らないと0点」の外資系に学ぶ

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また、いっきに仕上げずダラダラ進めていると、仕事がずっと頭に残った状態になっています。そうするとほかの仕事の邪魔になってしまい、トータルで仕事が遅くなってしまいます。

一度約束を破ると泥沼にハマる

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約束を破ることを、外資系ではコミット(約束)できなかったという意味で、「デコミット」と言います。通称「デコミ」です。

「今期の売り上げ目標は1億円です」「7月31日までにこのタスクを完了させます」「4月30日までに資料を提出します」など、ビジネスではさまざまなことをコミットしなければいけません。そして、それを達成すべく、邁進していくのです。

一度した約束を破るということは、その人の評価・価値を下げることになります。また、私たち外資系企業では、「デコミ野郎」とか「やるやる詐欺」などと揶揄され、最も恥ずかしいことだとされています。

私も、先日、あるメディアに寄稿する原稿の期限をデコミしてしまいました。一度期限を過ぎてしまったことで、「どうせ遅れているし、いつでもいいや」という気持ちに――。一度そういうモードに入ってしまうと、あとは悪循環です。どんどんToDoとしての優先度が下がり、原稿を書く時間がないわけではないのに、ほかの仕事ばかりを進めてしまい、その仕事を放置してしまったのです。

結局のところ、当初の予定よりも3週間も遅れて原稿を書き上げることになりました。こんなことを繰り返してしまうと仕事が遅い人間であると評価されてしまいます。

実は、1回の遅れよりも怖いのが、この「遅れグセ」がつくことです。締め切りに間に合わないことがあまり恥ずかしくなくなるために、それが習慣化してしまうのです。

デコミットに慣れないための重要なポイントは2つです。デコミットしてしまった後に、新たな予定日を明確に決めること。そして、2回目は、それを絶対に守ることです。

反対によくないのが、「すみません! 早めにやります!」などと、期限を設定せずに謝罪だけするパターンです。相手も「いつ提出してくれるのだろう」とヤキモキしますし、自分も新しい締め切りが決まらないので、ずっと頭から罪悪感が消えません。

9/10(土)に筆者のセミナーが行われます。仕事の効率化に興味がある方は、お申し込みください。

 

木部 智之 デロイトトーマツコンサルティング合同会社ディレクター

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きべ・ともゆき / Tomoyuki Kibe

横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了後、2002年日本IBM入社。数々の炎上プロジェクトの火を消し、エグゼクティブ・プロジェクト・マネージャーに。2018年よりパナソニックのソリューションビジネスの立ち上げに従事し、2020年最年少でパナソニックシステムソリューションズジャパン執行役員に就任。パナソニックコネクトカンパニー役員を経て、2022年9月より現職。人材育成にも力を注ぎ、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを実施。主な著書に『プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」』(KADOKAWA)、『入社1年目のビジネススキル大全 』(三笠書房)など。

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