ソフトバンク「史上最高3.3兆円買収」の賭け IoT時代を先取り、半導体設計会社を電撃取得

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アーム社の売上高は2015年12月期9.6億ポンド、営業利益は4.0億ポンド。年間で148億個の半導体の設計に関わった。総資産21.2億ポンドに対して純資産17.9億ポンドと好財務の会社である。ロンドン証券取引所に上場していて、ソフトバンクはアーム株の1.42%をすでに所有している。

アーム社への出資を最終的に意思決定したのは約2週間前。トルコにヨットでバカンスに来ていたアーム社のサイモン・セガースCEOをレストランに誘い、「プロポーズした。(アーム社を買収できないかという)一般的な議論は前からあったが、腹を決めたのはこの2週間。ニケシュ・アローラ氏が取締役会に残っていてくれたら、賛同してもらえたと思う」(孫社長)。

「10年前から欲しかった」

スプリントが改善の兆しを見せていることも、買収を後押ししたようだ(撮影:尾形文繁)

買収金額240億ポンド(3.3兆円)は、日本企業による企業買収として過去最大。とはいえ、3月末時点で2.5兆円の現金を保有しているほか、6月に保有株を大量売却したことで2兆円の現金を手にする予定のソフトバンクにとっては、「倒産するほどの金額ではない。高い技術を有するアーム社は10年以上前からほしかった会社。資金に余裕がなくてできなかったが、今回、アリババ株やガンホー(オンライン・エンターテイメント)株、スーパーセル株を売ったことで2兆円の現金が手に入ることになり、アーム社を買えるようになった」(孫社長)。今回、みずほ銀行から1兆円の借り入れをするが、それも1兆円のスーパーセル株売却による資金が8月に入るまでのつなぎ融資だ。

「英国のEU離脱によるポンド安のタイミングを狙ったのではないか」という記者の質問に対して、「ポンドは下がった。株価が軒並み下がる中、アーム社の株は逆に値上がりしている。対米ドルで影響は相殺されている」と孫社長は「EU離脱による英国の混乱に乗じたのでは」との見方を一蹴した。

確かに、6月頭に1000ペンス程度だったアーム株はじりじりと株価を上げ、7月には1200ペンス前後に値上がりしていた(現在は今回の買収予定価格である1700ペンスにはりついている)。

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