「ポケモンGO」超絶人気は、まだまだ序の口だ 予想以上の好調ぶりに任天堂の株価は急騰

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ポケモンGOは、グーグル系のゲーム開発会社で、スマートフォンゲームのヒット作として知られる「Ingress」を生み出したNianticと任天堂が開発したモバイルゲームだ。現実空間のいたるところにポケットモンスターが存在するかのように、スマートフォンのカメラと画面を用いて拡張現実空間が表示される。Ingressがそうであるように、アウトドア指向も強く、街や公園に出てポケットモンスターを捕まえたり、戦ったりといったことが行える。

基本料金は無料。課金設定も比較的軽微で、積極的に遊べばいつまでも無料で楽しめる設計だ。しかし、爆発的なダウンロードと継続率の高さもあって、ポケモンGOはアプリ内課金の売り上げランキングでナンバーワンに輝いている(「App Annie」調べ)。1日に1回でもアプリを起動する人数を示すDAU(デイリーアクセスユーザー)は増加の一途で、たった2日でTwitterのDAUに迫る勢いだそうだ。

この人気ぶりが報じられるにつれて任天堂の株価が急騰しているのは当然と言えるだろう。7月7日終値で1万5000円に満たなかった任天堂株は7月12日終値で2万2860円まで上昇している。およそ9300億円も株式時価総額が増えた計算になる。

この人気ぶりに過熱感を感じている読者もいるかもしれないが、ポケモンGOの成功はまだ“始まったばかり”と考えるべきだ。理由は2つある。

この人気は「固定化」される

スマートフォンアプリ、とりわけゲームの人気は固定化される傾向が強い。「パズル&ドラゴンズ」や「モンスターストライク」は長期にわたって人気上位のゲームアプリだ。

こうした固定化が起きやすいのは、なぜか。それは大量のゲームが数年にわたってスマートフォン向けに集中したことで、話題性の高いアイデアを用いたゲームや誰でも知ってるキャラクターを採用したゲームなど、何らかの理由がなければ、ユーザーが発見しづらくなってきている。

結局、AppStore、Google Playなどのアプリストアのランキング上位からダウンロードするユーザーが多く、新たなメガヒットが生まれにくくなっている。その中で、強力なポケモンブランドによってポケモンGOは一気に最大規模のゲームプラットフォームにまで登り詰めた。しかも、その普及は始まったばかりであり、“刈り取り期”はこれからだ。

もうひとつの理由は、ポケモンGOが新たな遊びを生み出す“プラットフォーム”となる可能性を持っていることだ。

ポケモンGOはプレーヤーがいる場所や現実の風景などと連動する。今後、ポケモンGOは世界中の観光地や企業などと連携したり、任天堂の他キャラクターとのAR空間での交流など、現実/仮想といった区別を越えて多様なコンテンツが集まるプラットフォームに育っていくだろう。そうなれば、ポケモンGOの世界観にはさらに奥行きと幅が生まれ、ユーザー層が広がったうえで飽きの来ない長寿命のゲームアプリとなるに違いない。

昨今低迷していた任天堂の株価を基準に“急騰”と騒いではいるが、スマートフォンを用いたモバイルネットワークゲームにおいて盤石の位置を築くことができれば、今の急騰など小さなノイズとしか思えなくなるだろう。かつて2007年11月2日に、任天堂の株価は7万0500円を付けていた。まだまだ低水準なのである。

投資家としての注目ポイントは、この過去最高値にどこまで近付くか、だろう。しかし、この新しいゲームプラットフォームが正常に育っていけば、任天堂は新たな黄金期を迎えることになるかもしれない。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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