バーバリーと三陽商会、蜜月にくすぶる懸念 ライセンス契約は残り2年半、更新いまだ決まらず
また「アニエスベー」は93年から続いたサザビーリーグとの契約を05年に中途解消。「ラルフローレン」もオンワード樫山との契約を07年に終了した。その後、両ブランドとも自ら日本で事業を始めている。
これまで日本のアパレルはライセンス契約を重宝してきた。ブランド側のチェックは入るものの、売上高の10%程度といわれるロイヤルティを払うだけで、自社企画の商品を著名ブランドの名前で販売できる。資金が潤沢でない中小企業が乱立する日本のアパレルにとって、カネと時間をかけて自社ブランドを育成する 手間が省けるのが魅力だ。
薄れたブランド側のメリット
ブランド側にもメリットがあった。衣料品は地域ごとに体型や季節感、嗜好が異なり、世界共通の製品を展開するのが困難とされる。日本でビジネスを始める際、アパレルにライセンスを付与することで、在庫を抱えずにブランドの浸透と市場の拡大を図ることができたのだ。
ところが、一定のブランド力が確立すると、そのメリットは薄れる。多くの場合、契約更新の判断は商標権を持つブランド側に委ねられる。三陽商会とバーバリーの動向が、アパレル業界の関心事になっているのには、こうした背景がある。
同日、三陽商会が発表した、中瀬雅通会長(=右写真=)が相談役へ退く人事も波紋を呼んでいる。中瀬会長は三陽商会の創業者である吉原信之氏の娘婿。93年に社長に就任し、00年からは代表権のある会長を務めてきた同社の最高権力者だ。会社側は今回の辞任は、希望退職への責任というのが、「ライセンス更新で、ネガティブな方向へ話が進んでいるのではないか」(アパレル中堅幹部)とのライセンスに関する引責とみる向きもある。
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