アウディ「A5」に見るクーペの贅沢と美しさ その乗り味は楽しく意外なほどシャープだ

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室内は従来型より広くなっている

室内の作りもよく、シートの座り心地がよい。リアシートも大人2人にとってスペース的な余裕があるので、使い勝手も高得点だ。ゴルフ趣味を持つひとには大きなトランクを備えている点も長所だ。インフォテイメントシステムも使いやすく、欧州では外部との通信機能も拡大しているようだ。日本に輸入されたときも、これまでのアウディジャパンの動きを見ていると、通信機能の拡張に期待できるかもしれない。

A5クーペとS5クーペはエアダムの形状が異なっている(写真正面はA5クーペ)

同時に発表されたのが新型S5クーペだ。スポーティさでいうとA5クーペに輪をかけて出来がよい。新開発の3リッターV型6気筒エンジンはミラーサイクルといって吸気バルブを長めに開けることで燃焼をより効率的に行う機構が採用されている。ターボチャージャーは90度のバンクの内側に置かれる。それによってエンジンの冷却システムを活かして吸い込む排気の温度を下げ「最適な効率で動くようにしている」(試乗会場で話したエンジン開発担当者)そうだ。

ターボ化の不自然さがまったくない

S5クーペは新開発の2995ccV型6気筒エンジンにクワトロシステムの組み合わせを持つ

S5クーペのパワー感は従来以上だ。実際、出力で15kW(21ps)上がり、トルクも60Nm増大している。よさはターボ化の不自然さがまったくないこと。高回転域のパワーを求めてターボチャージャーを大径化すると低回転域の力不足感と過給(ターボ)が効き始めたときのちょっとしたぎくしゃく感が気になったりする。いっぽう小排気量エンジンにありがちな小径ターボチャージャーでは回転をあげていくときの突き抜ける快感にとぼしい。S5クーペの味付けは絶妙だ。下の回転域から上までパワー感が途切れることはない。

エクステリアデザインでは前後のタイヤの存在感が強調されている。その適度にアグレッシブな外観から期待する通りの走りが楽しめる。内実ともにスポーティクーペとして完成されているといえる。日本での発売は2017年になりそうだが、全長4637mm(欧州値)のミドルサイズクーペという普段使いにもぴったりのサイズとあいまって、待つ価値は十分にありそうだ。

(文:小川フミオ)

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