提案力を徹底比較! ケース別・おススメ生命保険◆50代編(全4ケース)
ケース15◆50代前半【50歳・女・既婚・共働き】
次男への仕送りきつく、ローン完済まで10年
50歳の女性。会社員で年収740万円。夫の年収も760万円あるので、夫婦での収入は人並み以上。ただ長男は独立したが次男は大学生で別居しており、仕送りがきつい。月20万円の住宅ローンも完済まであと10年あり、負担が重くのしかかる。早期退職を検討中で、退職金は割増を含めて2000万円出る予定。保障額はいったいどのくらいあればよいのだろうか。
保険料の安いプランを提案しているオリックス、損保ジャパンひまわり、第一、アフラックはいずれも医療保険。「子どももほぼ独立し、退職金もあることから死亡保障は不要」(アフラック)との考えだ。一方で三井住友海上きらめきは「定年までの死亡保障と老後の貯蓄を兼ねて」、1000万円の終身保険と終身医療保険の組み合わせを提案する。AIGスターも「老後の保障の準備が必要」として、死亡保障10万?の終身保険を提案した。
かんぽは「50歳なので一生涯の保障を推奨」として、災害、疾病の特約を使って60歳までの保険金を500万円、その後は保険金が250万円に減少する終身保険を提案する。富国は「死亡保障は不要」として、医療保険に加えて一時払い保険料1000万円の個人年金保険を提案している。この一時払い保険料の原資は退職金の一部を充当。かんぽも「月払いを基本としつつも退職金の一部を前納できる」という。
このケースに対して、フィナンシャルプランナー(FP)の各氏はどう見るか。「共働きで子どもはもうすぐ独立、持ち家で貯蓄もあるので、保険は原則不要」と言うのは和泉昭子氏。「あとは保険に対する当事者の好みの問題で、生きるための保険(医療・介護・年金)をどこまで取り入れるか」。三輪鉄郎氏も和泉氏と同様に死亡保障は不要との考えだ。
一方で、桑山政嗣氏は、「現在の収入と貯蓄額から推定すると、必要保障額が高額になる」として、死亡保障額は3700万円と試算した。「生活費の再点検を行い、余裕があれば貯蓄額を増やす検討が必要」(桑山氏)。
2000万円の退職金については、保険料への充当を提案する生保もあるが、桑山氏は「住宅ローン金利等の状況により判断は変わるが」と前置きしたうえで、「老後資金に充てるか、住宅ローンの繰り上げ返済に充てるか、検討すべき」と言う。利息削減効果とその後の貯蓄プランを比較して、有利な方に充当すべきだ。
和泉氏は「共働きで、妻の退職金だけで2000万円(夫の退職金もおそらく2000万円くらいか?)、さらに年金も厚生年金が2人分あることから、リッチなセカンドライフが送れることが予想されるので、老後資金の不安は少ない」として、「もし年金商品をということであれば、定額タイプよりも変額タイプ」を提案する。運用による受取額のアップが期待できるためだ。ただし、「投信に比べると保障コストの分だけ、運用効率が悪いので、500万~1000万円程度でいいのでは」と見る。「退職金をそのまま丸ごと変額年金に放り込むのは疑問だ」。さらに、アクサの65歳年金開始で5年間受け取りのプランよりも、「退職後公的年金が薄い60歳前半の確定年金か、長生きするほど得になる終身年金を選択するのがベター」と言う。
このケースでは、どのような保険がよいのか。FP3氏が一致して勧めるのがオリックス。「低廉な保険料で、入院が長引く可能性がある生活習慣病の支払い限度日数が長いので、この世代にグッド。保険料は60歳払い済みで老後の負担もない」(和泉氏)。三輪氏と桑山氏も、その割安な保険料に注目する。さらに、「介護が不安なら、80歳程度までしかカバーできない商品が多い中、終身タイプで医療・ガン・介護保障が準備できる三井住友海上きらめきの終身医療のプランかアフラックのプラン」(和泉氏)がお勧めか。