天守閣は物置だった?「日本の城」の教養10選 世界遺産「姫路城」のスゴさもわかる!

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「城の魅力」と重なるところも多いのですが、「城跡ならではの魅力」も整理すると、次の3つと思います。

「城跡」の3つの魅力

【城跡の魅力1】「あの戦国武将」の舞台を体感できる

豊臣秀吉の水攻めで知られる「備中高松城」や、鉄砲隊で有名な長篠の戦いの原因となった「長篠城」、織田信長の「安土城」など、歴史ファンにお馴染みの城の多くは「城」そのものが残されておらず、残っているのは「城跡」だけです。

しかし「城跡」を巡ることで、「秀吉が城の周囲を水浸しにしたのはここか」「武田の騎馬隊がここを攻めたのか」「織田信長もこの石段を歩いたのか」など、有名武将の歴史ドラマに思いを馳せることができます。

NHK大河ドラマ『真田丸』で有名になった群馬県の「岩櫃(いわびつ)城」がにわかに人気スポットになっているのも、真田氏の合戦の現場をリアルに体感できるからでしょう。

【城跡の魅力2】復元された城よりも「リアル」で、形がない分「自由に想像して」楽しめる

戦後、日本経済が復興してくるにつれて、失われた天守閣を「わが町の復興のシンボル」として再建させようという「昭和の天守再建ブーム」が全国で起きました。

しかし、「学術的に城を復元する」のではなく、コンクリート造りで外見だけ似せた天守閣を建てたものが大半でした。そういう復元された城に対して「コンクリートでできた城なんて本物感がない」「中身が博物館では城の雰囲気が感じられない……」などと嘆く人は少なからずいます。

しかし「城跡」の場合、建物こそ残っていなくても、石垣や土塁、堀などは昔のままということも多く、乱世の昔にあった「兵(つわもの)どもが夢の跡」にかえって「リアル」に思いを馳せることもできます。

また、城跡の多くは風化が激しいうえに、そもそも記録も少なく、全体像が不明な城跡もあります。しかし、だからこそ、歴史ファンにとっては、自らの目と勘を頼りに「ここは土塁では?」「これは堀かな?」と自由に想像をめぐらせて楽しむこともできます。

【城跡の魅力3】戦国時代以前の「より古い時代の城跡」が見られる

天守閣が残されている城は、姫路城にしても松本城にしても、実は「安土桃山時代以降、江戸時代の城」が大半です。弥生~平安~南北朝~戦国時代の「もっと古い時代の城が見たい!」と思えば、自ずと「城跡」を巡ることになります。

「古い時代の城」にはそれ特有の魅力があります。石垣などで整備されるより以前の城の原型が見られたり、小規模な勢力の驚くほど小さな城を見ることもできます。

Q8.なるほど。初心者にはまず「城跡より城巡り」と思いますが、「建設当時の面影」を最も残しているお城はどれですか?

明治の廃藩置県による破壊や太平洋戦争の空襲の被害を奇跡的に逃れ、現在に天守閣を残す城は、全国で12あります。

そのうち、国宝指定の「松本城」「犬山城」「彦根城」「姫路城」「松江城」や「松山城」などは、天守閣を中心に曲輪や櫓、堀などがよく現存していて、それぞれに個別の魅力があります。最近、平成の大修復工事を終え、世界遺産にも登録された姫路城は、世界的にも有名です。

次ページ地震で被災した「熊本城」はどうなってしまう?
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事