鉄砲玉もはじき返せる?「日本刀」の基礎知識 ブーム到来!「超絶エピソードから弱点」まで

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1567年、常陸の佐竹義重(よししげ)は、小田原の北条氏政との合戦で、襲ってきた敵の騎馬武者に頭上から刀の一撃を加えたところ、なんと頑丈な鉄製の兜もろとも頭部を両断。騎馬武者の体は馬の左右に分かれて落ちたそうです。この「鉄製の兜もろとも一刀両断した」という逸話から、その刀は「八文字長義(はちもんじちょうぎ)」と名付けられ、いまも現存しています。

ほかにも、先ほどの天下五剣の「童子切安綱」には、源頼光が大江山に潜む「鬼」である「酒呑童子(しゅてんどうじ)」を倒したというユニークな伝承もあります。名刀にまつわるエピソードは、ほかにも「幽霊に化けた石灯籠」を真っ二つに斬ったという「にっかり青江」や、体長1m以上もある「巨大蜘蛛」や「山姥(やまんば)」、あるいは「河童」を斬ったなど、枚挙にいとまがありません。

日本刀にも「弱点」があった!

Q9. 日本刀に弱点はあったのですか?

残念ながら、「弱点」はありました。鉄製品ですから、手入れを怠ると「錆び」が生じます。どんな名刀でも錆びたら切れなくなるので、小まめな手入れ(防錆)が必須でした。

また、実戦での使用はとてもハードなので、1~2回の斬り合いですぐに「刃こぼれ」が生じます。場合によっては変形、折れてしまうなど、「消耗品」と言ってもいいようなものでした。

Q10.戦場では「折れた刀」はどうしたのですか?

刀は「消耗品」だったので、武将クラスの有力武士は、合戦の際「刀小姓(かたなこしょう)」を常に引き連れていました。「刀小姓」は、武将の使用する刀のスペアを常に所持し、使えなくなった刀を瞬時にチェンジしてくれました。

「刀小姓」を持つ余裕のなかった下級武士は、荒砥(携帯用研ぎ石)で応急処置するか、周囲の戦死者から随時「調達」していたようです。

Q11.「槍」「鉄砲」の出現で、やはり刀は不利になりましたか?

たしかに、源平合戦のころは、まだ「侍同士の戦い=太刀で打ち合う」のが主流でした。それが、戦国時代になると「槍」を持った兵が多用されるようになります。「槍」に比べて刀は刀身が短いので、対戦すればさながらボクシングでいう「リーチ」の差に等しく、非常に不利になったという面があるのは事実です。

ただし、「鉄砲」との戦いでは、当時の「鉄砲」は確実な殺傷距離が100m以内と短く、それ以上の距離では弾丸の速度が落ちて、「手にした刀で鉄砲玉をはじき返すことも可能だった」とも言われています。

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