「パナマ文書」が暴いた巧妙な税逃れの手口 ある米国人は143億円を国外へ飛ばした
クリストファー・ポンソルトはこの件に関するコメントは控え、電話を切る前に「申し訳ないが、協力はできない」と言った。
モサック・フォンセカは別のクライアントのため、プレミアム価格で特別サービスを提供していた。
ニューヨークに住む作家のマリアンナ・オルシェフスキーは、(オフショア金融センターとして知られる)ガーンジー島の香港上海銀行に保有していた100万ドルを、新たな海外口座に移したいと考えた。ポイントは、この取引に関して、彼女の名前が表れないようにしたい、ということだった。
税逃れの手法のリスクは認識
当時モサック・フォンセカのパートナーだったラムセス・オーエンズが解決策を提案した。彼が言うところの「税的に都合のいい」場所で「自然人の名義人」を置き、口座の所有者としてオルシェフスキーの代役とさせるのだ。
オルシェフスキーはこの提案を受け入れた。
元連邦検事のジェフリー・ニーマンによると、口座の本当の所有者を隠すために代理人を使うことは、米国人が好む違法な手法として、今日も残っているものの一つだという。米国が国際銀行に対して口座の所有者を証明するようプレッシャーをかけているため、こうした手法が用いられているという。彼はこのケースには直接コメントできないと断った上で、「法律事務所が進んでこれを行ったため、クライアントにとってこのプロセスが合法的なものとなる」と述べた。