「パナマ文書」が暴いた巧妙な税逃れの手口

ある米国人は143億円を国外へ飛ばした

連邦法は米国市民が海外に資金を移すことを認めている。しかし、海外での持ち分は財務省に申告しなければならず、キャピタルゲインや利子・配当に対する税金も、国内での投資と同様に支払わなければならない。政府当局者の試算によると、オフショア資産に関して政府が受け取れていない未払いの税額は、年間で400億ドルから700億にのぼるという。

ニューヨーク・タイムズは、連邦税法やマネーロンダリング、オフショア口座の専門家に一部の文書を検証するよう依頼し、モサック・フォンセカが用いた手法に法的問題があれば指摘してほしいと頼んだ。彼らは、モサック・フォンセカの戦略は時には巧妙なものがあるが、それらも一見したところ合法的だと述べた。

専門家らも、まだ何の告訴も行われていない段階では、モサック・フォンセカやそのクライアントが法を犯したとは言いにくい。一方で彼らは、クライアントが法の目をかいくぐるための巧妙な方法を、同法律事務所が堂々とアドバイスしていたことに驚いたと言った。

元シティCEOや大リーガーの名前も

モサック・フォンセカの顧客リストには、多くの国の有名政治家の名前が入っていたが、米国の大物政治家の名前は入っていないようだ。

しかし、同社のサービスは、米国の富裕な著名人の間で人気があったようだ。

2001年には、当時シティグループのCEOだったサンフォード・I・ワイルが、エイプリルフールという名の会社を自分の船のために設けた。また、ニューヨーク・ヤンキースなどでプレーした大リーガーのアルフォンソ・ソリアーノは、彼のために設立されたパナマの会社を所有していた。ワシントンの大手不動産ディベロッパー、ジョン・E・アクリッジ三世は、モサック・フォンセカの弁護士らと会うためにパナマへ飛び、弁護士らは2011年に「シクロプス・ファミリー財団」をパナマで設立して、その関連口座も開設した。

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