ルネサスが電産出身者を新社長に充てた意味 新社長と電産・永守氏の「複雑な関係」とは?

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しかし自動車メーカーからすれば、下請け部品メーカーのルネサスが独立系の日本電産の下で競争力を増せば、価格交渉などで主導権を奪われる可能性もある。外資と同様、渡したくない相手であると考えられる。

とはいえ、ルネサスも、孤高を貫いてばかりはいられない。半導体業界では国境をまたいだ業界再編が待ったなしで進行しているからだ。

2015年は、ルネサスの競合である蘭NXPセミコンダクターズが米フリースケール・セミコンダクタを買収し、自動車用半導体市場で世界シェア1位に躍り出た。かつて遠藤氏が資本提携を画策したインフィニオンも、米インターナショナル・レクティファイアーを買収している。

業界再編に取り残される

これら2社に抜かれる形で、ルネサスは世界シェア3位へと転落した。今後は反転攻勢に向けた成長戦略の確立が急務だ。その手段として「買収されるのではなく、自ら買収を仕掛けたい」(柴田英利・ルネサス常務)という姿勢を見せている。

一方で、産業革新機構は時限組織であり、保有株式の出口戦略も考えなければならない。産業革新機構は2013年に出資した際、5~7年は支える方針を示した。裏返せば2018年以降、株式を売る可能性があるということだ。

両者の間では市場での株売却も検討されているもよう。が、すべてを市場でさばくとなると、大幅な株価下落の要因にもなりかねない。

日本電産、産業革新機構、自動車業界の思惑が渦巻く。ルネサスはどこの手に落ちるのか。

「週刊東洋経済」6月11日号<6日発売>「ニュース最前線02」を転載)

東出 拓己 東洋経済 記者

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ひがしで たくみ / Takumi Higashide

半導体、電子部品業界を担当

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