JR大赤字線は100円稼ぐのに800円も掛かる 東海・西・四国・九州・貨物各社の営業係数
2016年秋に予定されている株式上場を目前にしながら同社は熊本地震の被害を受け、暗雲が立ち込めてしまった。2016年度の営業係数を試算できるようになるにはいましばらく時間が必要ながら、資料を入手でき次第すぐに試算に取りかかり、分析を進めていきたい。
さて、JR九州の営業係数を2013年度と2008年度とで比較すると、九州新幹線の躍進ぶりが目に付く。2008年度は112・1であったところ、2013年度に91・1となったのは言うまでもなく2011年3月の博多〜新八代間の開業であろう。
在来線で気になる路線といえば、下関〜門司間と関門トンネルをはさんだ1駅だけの区間で営業を実施する山陽線だ。営業係数は2013年度が120・4と2008年度の103・2と比べて悪化した。平均通過数量が減少していることからも理由は推察でき、実際に旅客人キロは2008年度の4553万1000人キロから4288万8000人キロへと6・2パーセント減ったからだ。
下関市と北九州市という大都市同士を結ぶ路線で利用者が減っているのは、自動車など他の交通機関への転移や少子化の影響もあるであろう。構造上、山陽線にはJR九州でここだけでしか使わない交直流電車が必要となり、その交直流電車も国鉄から引き継いだものを使い続けている。さりとて試算した営業係数から電車の更新も難しく、JR九州の悩みの種の一つだ。
貨物は改善の兆し
同社は路線ごとの貨物トンキロを発表していないため、JR他社のような営業係数を試算することはできない。そのような中、確定値である全体の営業係数は2008年度の106・3から2013年度には103・3と改善の傾向にあるのは喜ばしい限りだ。
とはいえ、安泰と言えない点がJR貨物の泣き所である。北海道新幹線の開業によって貨物列車は共用区間で新幹線の列車と一緒に走ることになった。しかし、貨物列車は新幹線の最高速度を時速140キロメートルに下げる要因となっていて、特に北海道の関係者からは評判が悪い。仮に北海道からJR貨物が追い出されるとなれば大きな打撃を受けることは間違いない。北海道新幹線が札幌まで延びる前までにJR貨物に朗報が届くことを祈る。
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