スマホの使いすぎは、身体をボロボロにする 首の筋肉の凝りを決して侮ってはいけない

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ここ数年で若い世代を中心として爆発的に普及したスマホ。いつでもどこでもネットにつながり、他人とコミュニケーションを取ったり、ダウンロードしたアプリで音楽やゲームを楽しんだり。さまざまな機能を持つ小型コンピュータを手放せない人は非常に多くなってきた。

このように四六時中スマホをいじる生活は、さまざまな問題を引き起こしている。典型的なのは「歩きスマホ」だ。東京消防庁によれば、2010年から2014年の5年間で徒歩や自転車で移動中にスマホを使っていたことが原因で、救急搬送される事故に遭った人は152人にも上る。これは極端だが、こうした統計に表れていなくても転倒、接触、衝突などの人身・物損事故につながり、それが原因でトラブルになっているケースは山ほどあるだろう。

仕事中であっても勉強中であっても、寝ても覚めてもスマホが気になって仕方がない。スマホに触れない時間が続くとイライラしてしまう。こうした「スマホ依存症」は精神的なストレスにつながる。ただ、問題はそれだけではない。

中高生の子供にまで「凝り」が発生しているのはなぜ?

私のもとに痛い鍼治療だと知っていて来院する患者の中に、最近は中学生や高校生の姿が見受けられるようになっている。大人ならまだしも、なぜ子供たちに「凝り」が原因の症状が多くなってきているのか疑問を持っていたところ、勉強やビデオゲームのやりすぎだけではなく、むしろ、スマホばかりいじっているスマホ依存症が原因だということに気がついた。

中学2年生のSさんはバスケットボール部で活躍する活発な女の子。お母さんが偏頭痛で来院していて完治に向かっている途中、「長女も偏頭痛と慢性鼻炎で悩んでいるので、鍼治療をお願いしたい」とのことだった。「本人が治療する気ならいつでもいらっしゃい」と伝えると、すぐに来院した。

Sさんの首の筋肉はとても固く、14歳の女の子のものとは到底思えなかった。バスケットボールの練習中とか試合中に転んだことが何度もあるというので、頚椎捻挫を疑って治療を開始したのだが、すこし良くなったかなと思ってもすぐに再発した。

おかしいなと感じていたところ、たまたまSさんが待合室で妹とスマホのゲームに興じていたのを見て、私はお母さんに「Sさんは1日、どのくらいスマホをいじっているのか分かりますか?」と尋ねた。すると、「ほとんど1日いじっていて、時間を制限しても守らないので困っている」という返事だった。なるほど、治るわけがなかった。スマホ依存症が原因だったのだ。

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