スターエコノミストはインドを救えるか? 成長に急ブレーキ インドが抱える難問

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たとえば、小売業界は貧困層に巨額の税金を実質的に課している非効率の源である。ウォルマートのような外国の小売企業に対して訴訟を起こすのではなく、インドはそうした企業の超効率的なやり方をまねて恩恵を受ける方法を見つけるべきだ。インフラは改善しつつあるが、国内の大半の地域で道路、港湾、水道、送電網は依然ひどい状態にある。

地方分権を進め弱体地域の自立を

もちろん、インフラ建造のために人々の生活や環境をブルドーザーで壊すわけにはいかない。が、一大抵抗勢力である腐敗した官僚や政治家たちの一群は経済改革への大きな障害となっている。

中央政府のマヒ状態は、国民12億人の民主主義国では不可避であり、再活性化する唯一の方法は、各州から成るもっと緩やかな連邦を確立することだと論じる者もいる。地方分権を行えば、経済的に弱い州の依存体質の改善を目指すことで、インドのより貧しい地域も長期的に恩恵が受けられる可能性がある。

近年、分権的な欧州が機能不全に陥り、より中央集権的になろうと苦労しているが、それでも少しずつ分権的な方向に進むことでインドはその恩恵を享受できるかもしれない。

地方分権は非現実的に聞こえるかもしれないが、かつては欧州連合もそう思われていた。もしシン首相の新たな改革計画が再び阻まれたら、おそらく、そのときはより抜本的な見直しをするべきだろう。

©Project Syndicate (撮影:ロイター/アフロ) 

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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Kenneth Rogoff

1953年生まれ。1980年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。1999年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001〜03年にIMFのチーフエコノミストも務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

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