北朝鮮の楽団が「ガールズグループ」に大変身 <動画>「韓国と変わらない」その公演内容は?

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モランボン楽団の今回の公演内容を見ていると、さまざまな時代の流行が組み合わされていることに気付く。

1970年代に米国で流行したガールズボーカルグループや80年代のテクノポップのような振り付けが目立っているが、一部には2000年代に日本で流行したパラパラと思われるような振り付けも見られた。

「外国のアーティストに負けられない」

北朝鮮音楽に詳しい在日コリアンは、「演出やダンスは徐々に現代的で派手になってきていて、そのノウハウや技術的な蓄積がちょうど今回の党大会で発揮できたのではないか」と指摘する。北朝鮮には韓国をはじめ外国の音楽も流入しており、国民は音楽も振り付けも、さらにはコンサートの様子などにも慣れてきているのが実情。そのため、「国家を代表するモランボン楽団のような音楽家は外国のアーティストに負けられないと考え、公演内容も演出も派手なものが増えていくのではないか」と説明する。

祝賀コンサートでのモランボン楽団の公演の様子(写真:AP/アフロ)

モランボン楽団をはじめ、北朝鮮の音楽家は音楽分野での国家的エリートとして、幼少時期から英才教育を受けてきた。ただ、2012年にお目見えした当初のモランボン楽団は、メンバー各個人の力量はハイレベルだが、グループとしてのアンサンブルとしてはどこかぎこちなさが感じられていた。

韓国メディアは、モランボン楽団の公演内容の変化は、金党委員長がスイスに留学中だった幼い時期、スポーツと音楽などに深い関心を見せていたことと関係が あると見ているようだ。2015年9月に、米CNNは当時の公演内容が韓国のガールズグループ「少女時代」をまねていると報道したことがある。

「2013年の祖国勝利戦争(朝鮮戦争)勝利60周年記念公演、15年の朝鮮労働党創建70周年記念公演など大舞台で経験を積んできたため、今回のコンサートではグループとして非常にまとまった公演を見せることができたのではないか」(前出の在日コリアン)という評価もある。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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