福岡市のゴミ収集が「真夜中」に定着した理由 満足度97%!収集の方法も至れり尽くせり

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夜間に行われるごみ収集作業=福岡市提供

以前は、作業員の「オーライ」のかけ声に、「うるさい」と苦情が出ることもあった。しかし現在は、なんと車の後部に集音マイクを取り付け、作業員が運転手とやり取りしているそうだ。驚くべき気遣いではないか。

収集の方法も、至れり尽くせりと言っていい。

道が狭くてパッカー車が入れない地域や集合住宅を除き、一戸建て住宅は一軒ずつ、玄関先の路上に出されたごみを集める。その数、約24万カ所。「お年寄りや体が不自由な市民への配慮」というが、誰のごみか明確になるため、「不分別の抑止につながる」という。

お父さんの「任務」は全国共通!

分別はおおざっぱだ。「燃える」「燃えない」「空きびん・ペットボトル」「粗大」の4分類しかない。リサイクルしやすいように細分化している都市も多いが、福岡市は「転入者が多いため、分かりやすいルールが必要」と判断。収集後に処理施設で9分類に選別している。

不燃物は月1回しか収集しないので注意が必要だ。タイミングを逃すと、ベランダがごみスペースになりかねない。指定のごみ袋はスーパーなどで購入でき、袋に入らない粗大ごみは有料。申し込み、問い合わせは粗大ごみ受付センター=092(731)1153。

ごみ捨てはお父さんの役割という家庭も多いだろう。転勤で千葉県から家族で福岡市に引っ越してきた40代の会社員男性は「ごみ出しの日の夜は2度帰宅するんですよ」と首をすくめる。

夜、仕事を終えて家に帰ると、玄関にはドーンとごみ袋が二つある。男性は、カバンをごみ袋に持ち替えて、きびすを返して外へUターン。ごみを出し終え、再び帰宅するのだという。

制度は変われど、お父さんの「任務」は全国共通。時間が朝から夜にシフトするだけなのかもしれない。

(記者:吉武和彦)

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