「クッキー」は死んだ?生き残るのは何なのか Facebookがアドテクに抱く野望

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ここで、ピープルベースドマーケティング(詳しくはこちらの記事)は効果を発揮すると言われる。ログインなどから個人(匿名)の性別、年齢などの属性がわかり、デバイス横断的な行動データを獲得できるという。30代の女性は、ほかのデバイスでは野球と韓流アイドルとジャニーズアイドルにも興味関心を示していた。どうやら、スポーツかダンスをする魅力的な男性に関して、可処分所得を割いている女性のようだとわかる。この場合は、酒類や乗用車ではない広告が好ましい。

APAC・アトラス部門責任者のニック・セコールド氏は「アドテク業界はいまだに90年代につくられた技術(=クッキー)に依存している」と批判的だ。セコールド氏はクッキーで認識した「人間(デバイス)」をピープルとして認識すると、クッキーベースの62パーセントに「縮まる」と明らかにした。マーケティングの基点となる数字が誤りになる。

セコールド氏はほかにも以下の課題があると主張した。

・性別、年齢などの属性の正確性が低い
・コンバージョンの大半を補足できない
・(一部のリタゲ広告のような)掲出頻度の過剰さ

 

しかし、ピープルベースドマーケティングは、フェイスブックとグーグルのような巨大プラットフォームのみが提供できるのが現状だという。フェイスブックとグーグルは各デバイスで、ユーザーのログインを得られる可能性がとても高く、他アプリの認証にもアカウントが利用される。

グーグルのモバイルOS「アンドロイド」は出荷ベースで世界シェアの8割。これらにより、二者はデバイスと個人を匿名の状態で紐付け、クロスデバイストラッキングを行うことができると言われる。ジャクバウスキー氏は「Snapchat、アマゾン、Twitterも広告主にピープルベースドマーケティングを提供することができるが、大きなスケールに限れば、フェイスブックとグーグルだけが提供できると言っていい」と語った。

「アジア太平洋のネイティブ広告市場は141億ドル規模」

フェイスブック・APACアドテク部門責任者、アシュウィン・プリ氏はAPACでのネイティブ広告(※フェイスブックが得意とするインフィード広告の定義)は2020年に141億ドル(約1.5兆円)に達するとの予測を示した。APACの伸び率は北米・欧州の3倍程度の水準で、大きく突き放しているという。APAC地域のスマートフォン利用者は2014年の8億8800万台から、2019年には14億6000万台に達すると予測(eMarketer)されている。

プリ氏はFANにより、フェイスブックのピープルベースドマーケティングをパブリッシャー(媒体社)に享受してもらいたいと、日本の媒体社に対して話した。FAN は2014年10月に開始された。広告主はフェイスブックのデモグラフィック(属性)データとクロスデバイストラッキングを利用し、フェイスブック外のアプリにインフィード広告を掲出することができる。プリ氏は「ひとつのクリエイティブでさまざまなアプリに掲出できる」と話した。

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