アベノミクス終焉で日本はかなり厳しくなる 藤野英人氏が英EU離脱後の日本経済を予測
加えて、景気循環も下降局面になり始めています。国内の景気循環だけでなく、世界に目を転じても、スマートフォンというイノベーションの波が引き始めています。ここ10年間で出てきた米国の時価総額上位企業にはアップル、Google、アマゾン、フェイスブックがありますが、これらの企業の牽引役はすべてスマートフォンです。
2007年に米アップルが初代「iPhone」が発売してから10年近くが経ちますが、2015年に発売した「iPhone6s 」でついに販売台数はピークアウトしました。スマートフォンという10年間世界経済を引っ張ってきたイノベーションが陰ってきたのです。輸出ハイテク株は円高に加え、実需の落ち込みも顕在化してきています。
そう考えると、アベノミクスの3年間は日本経済にとって最後のチャンスだったのかもしれません。これからはもう日本はマイナス成長の時代に突入しますので、日経平均やTOPIXなどのインデックスへの投資はできなくなります。個別の企業を見て投資をしなければならない時代になったのです。
不祥事の「パンドラの箱」は今、開いたばかり
これには日本企業の体質の問題もあります。直近では三菱自動車などの燃費データ不正問題。少し前にも東芝の不正会計や旭化成のくい打ちデータ改ざんがありました。これからも似たようなことは起きるでしょう。
今の日本企業には、理不尽な、ときに順法精神に背くような要求をさせられ、「自分たちは虐げられている被害者だ」と思っている従業員が多くいます。従業員の不満が溜まっている中にコーポレートガバナンスや内部告発制度が出てきたので、隠れていた不正が表に出るようになってきました。
これから、大企業に関してはガッカリするくらい不祥事が出続けると思います。実は中小企業よりも腐っていたという事実がこれから露呈するでしょう。インデックス投資というのは、こうした大企業に足を引っ張られる投資手法なのです。
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