潜水艦受注失敗から学ぶ新幹線輸出への教訓 日本は技術力ではなく情報戦で負けていた!

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その結果としての失敗事例としては、例えば、少々前の話になるが2011年にUAE(アラブ首長国連邦)における原発プロジェクトにおいて、日本が有利と言われながら入札で韓国に持って行かれた例(ただし、その後、韓国は工事の遅延を発生させており、進捗は順調ではない)が典型的な例として挙げられるだろう。

また海外からの受注を目指すゼネコン各社においても、ODAに付随した案件はともかく、自由競争になるようなプロジェクトの場合は、中国勢や韓国勢に押されているのが実情だ。

建設業の場合、日本企業は高品質である分だけ価格が高いのがネックと言われている。だが、価格と品質のバランスにしても、相手国マーケットのニーズに関する正確な情報があれば、柔軟に対応してシェアを高めることは不可能ではないはずだ。

鉄道輸出のためにもノウハウを

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インドネシア高速鉄道計画は中国が逆転受注した(写真:digifab / PIXTA)

2015年のインドネシアにおける高速鉄道計画の事実上の失注は、これと似たような構造がある。破格のファイナンスをつけるという中国の条件に対抗しては損が出るので、今となっては見切った方がトクだという見方もある。

だが、仮にインドネシアの経済危機、それに伴う政権交代、そして通貨の下落という状況を正確に読んでいれば、もっと別の提案もできたはずだ。

鉄道ということでは、例えば海外における鉄道車両の製造販売に関しては、日本勢はここのところ躍進が目覚ましい。だが、川崎重工にしても、日立製作所にしても、工場を海外に建設して現地生産を行い、販売要員にも現地の人材を確保しているケースが目立つ。こうした国際化も日本経済には必要だが、それだけになれば国内は空洞化してしまう。

やはり、日本の鉄道産業としては、新幹線にしてもリニアにしても、最先端の高速鉄道を世界に売り込み、国内雇用と日本のGDPに直接貢献するような国際化も並行して進めなくてはならない。そのためにも、海外へのインフラ輸出に関するノウハウをもっと磨くべきだ。その決め手となるのは、相手国の市場特性や政情、経済状況を多角的に把握する情報収集能力だろう。

冷泉 彰彦 作家

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れいぜい あきひこ

1959年生まれ。東京大学文学部卒。米国在住。『アメリカは本当に「貧困大国」なのか』など著書多数。近著に『「上から目線」の時代』(講談社現代新書)。

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