スズキの「軽離れ」が避けられなくなった理由 もはやグローバル戦略を優先せざるを得ない
なぜ、ここまでスズキがコンパクトカーを増やしているのか。イグニスやバレーノの試乗会で関係者から聞いた話を総合すると、スズキは軸足を軽自動車から小型車に移しつつあるようだ。
軸足を軽自動車から小型車にしたのか
日本で販売される新車に占める軽自動車の割合は、2014年4月に消費税が5%から8%に引き上げられたのに続き、昨年4月には軽自動車税が年間7200円から1万800円に増税されたことで、シェアが落ちている。
昨年度の軽自動車の販売台数は約181万台で、全自動車の約494万台に対する比率は約37%になっている。単体で見ればかなりのシェアではあるけれど、前年度は約41%、その前は約40%だったから、確実に下がっている。
消費増税前の駆け込み需要の反動が、この下落を招いていることは間違いない。さらに昨年度は、主力車種のモデルチェンジがない、いわゆる谷間の時期だった。今年度はダイハツ「ミラ」やスズキ「ワゴンR」、その後はホンダ「N-BOX」のモデルチェンジが予定されている。これら新型の登場を待って買い換えを考えるユーザーもいるはずである。
しかし近年の日本が直面している人口減少と、軽自動車比率が小さい東京への一極集中がこのまま続くなら、軽自動車の販売台数が大きく反転するとは考えにくい。
政府は現在、排気量に応じて課税している自動車税を見直す考えで、燃費・環境性能を考慮した課税が有力視されている。これが実現すれば、現在は税率が低い軽自動車が増税になるという噂もある。昨年に続き、増税による販売低迷が訪れるかもしれない。
もうひとつ、高速道路の制限速度引き上げも関係するのではないかと思っている。警察庁が3月に発表した、現在100km/hの制限速度を段階的に120km/hに引き上げる方針というニュースだ。
筆者の経験では、120km/hで長時間楽に走り続ける余裕を持つ軽自動車は少ない。その点を見越して、120km/hまで出せる小型車に乗り換える人が増えるだろう。
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