消費者物価指数は5カ月連続で下落 【9月消費者物価指数】

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総務省が10月26日に発表した2012年9月分の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)が99.8、前年同月比で0.1%下落(8月は前年同月比0.3%の下落)となり、5カ月連続のマイナスとなった。総合指数は前年同月比0.3%のマイナスで4カ月連続のマイナス。欧米がコアCPIとして採用している「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数」は前年同月比で0.6%の下落で、新基準では2009年1月からマイナスが続く。

生鮮食品を除くコアCPIで上昇の寄与度が大きかった品目はエネルギーで前年同月比4.3%のプラス。中でも電気代が同7.3%の上昇となった。相場の下落から前年同月比でマイナスが続いていたガソリンは同1.8%と上昇に転じたこともあり、エネルギー全体では8月の前年同月比0.9%プラスに比べて上昇率が大きくなっている。下落のほうで寄与度が大きいのはテレビで前年同月比は4.7%のマイナス。ほかにもビデオレコーダーが同27.2%、冷蔵庫が同28.1%、プリンタが同46.1%など家電関連で大きな下落幅が目立つ。

 同時に発表された全国消費者物価の先行指標となる2012年10月分(中旬速報値)の東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値、2010年=100)は、コアCPIが前年同月比マイナス0.4%(指数99.3)とマイナスが続く。「食料及びエネルギーを除く総合指数」で前年同月比で1.0%のマイナスとなった。

 上昇要因で寄与度が大きいのは電気代で、前年同月比12.9%のプラス。電気代上昇の影響が続いているものの、9月の上昇率14.7%からは低下したことから、エネルギー全体でも前年同月比8.2%(9月は同9.4%)と上昇幅が縮小。こちらは全国ベース(9月分)のトレンドとは逆の動きとなっている。一方、下落の寄与で大きいのは外国パック旅行で前年同月比8.7%のマイナスだった。また、ルームエアコンが同20.3%のマイナスと大きい。

 物価関連で目先の焦点は10月30日の日本銀行による金融政策決定会合だ。同会合では政策決定と合わせて経済・物価情勢の展望(展望レポート)を公表し、これまで2013年度までだったものに14年度分の物価見通しを新たに示す。9月に日銀は景気判断を下方修正し金融緩和を決めたばかり。景気減速感が強まる中で、日銀が目途としている物価上昇率1%を14年度に達成することは難しい状況にある。既存の見通しの改定も含めて、日銀が新たな見通しをどのように示すかが注目される。

  消費者物価指数は、全国の一般消費者世帯が購入する商品とサービスの総合的な価格の動きを示す指標。景気が好転すると物価が上昇し、景気が悪化すれば物価が下がる、という一般的な傾向がある。5年ごとに改定される基準年の物価を100として、直近の物価の変動率を調査している。2011年7月分から2010年基準に改定された。
 

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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