コーセー「雪肌精」、爆買いに頼らない新戦略

百貨店でも販売、高級路線へ磨き直し

では、中国でもお馴染みのはずの雪肌精が、なぜ日本で買われているのだろうか。最大の理由は、中国と日本での価格差だ。中国では、定価販売が基本の百貨店で販売されているうえ、日本から輸出する際に関税などがかかるため、主力の化粧品は200mlで380元だ(2016年5月2日現在の為替レート1元=約16.5円で換算すると約6300円)。

一方、日本ではドラッグストアを中心に展開しているため、メーカー希望小売価格5000円の同商品が、それより3~4割安い3500円前後で売られている。加えて2013年から2015年にかけての円安・元高が、日中間の価格差を押し広げた。たとえば1元=約20円だった昨年5月時点では、雪肌精の同じ商品を日本で買えば、中国現地価格の半値以下で買うことができた。これが、雪肌精の日本での爆買いを生み出していたからくりだ。

百貨店でデビュー、実質的な値上げ戦略

ところが、同社は稼ぎ頭である雪肌精の爆買いを抑制しかねない、ある施策をスタートさせた。2015年5月から中国現地で雪肌精の単価を下げたのだ。従来200mlボトルで380元だった化粧水を、容量を20ml減らして180mlにし、価格を240元へ下げた。1ml当たりの単価で見ても1.9元から約1.33元への値下げだ。元安が進んでいることもあり、これで日本の雪肌精との価格差は1.2倍弱にまで縮まったことになる。

雪肌精の百貨店デビューを飾った、あべのハルカス近鉄本店の販売カウンター(記者撮影)

中国では値下げをする一方、ドラッグストアで販売されることの多い日本の雪肌精ブランドの価値を、中国のそれに近い、高級路線へ磨き直す戦略も始めた。4月13日にオープンした、あべのハルカス近鉄本店(大阪市)のカウンターを第1号店として、百貨店での展開を決めたのだ(左写真)。

販売カウンターのデザインは、新国立競技場などを設計する著名な建築家、隈研吾氏が担当。和紙と白木を使った和のテイストで、白木には「雪肌精」の文字がくりぬかれている。百貨店は定価販売のため、売価はドラッグストアよりも割高で、実質的な値上げ戦略となるが、美容部員によるカウンセリングや、百貨店専用の商品投入やエステサービスなどのプロモーション施策を打ち、付加価値を付けていく。近いうちに、国内の百貨店で10店まで順次出店を拡大していく予定だ。

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