マツダが販売好調の中で露呈したアキレス腱 国内工場はフル稼働、海外拠点の活用が急務

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だが息を吹き返したかに見えたマツダが、今期、大幅減益の予想に転じたことで同社の生産体制が為替変動に依然として弱いことを露呈させた。マツダは国内で15%、海外で85%を販売するが、生産の比率は国内が約6割、海外が約4割と逆転している。国内生産の約8割を輸出するため、円安では大きなメリットを享受できるが、今期のように円高に触れたとたん逆風になる。

マツダの国内の生産能力は100万台弱。昨年度の生産台数は約99万台と生産能力をほぼ使い切っている。国内生産台数は首位のトヨタ(317万台)に次ぐレベルだ。生産効率の高い国内工場をフルに使い、海外への輸出でここ数年の円安メリットを享受してきた。

もちろん、マツダも為替耐性をつける努力をしてこなかったわけではない。この4年間で約3割だった海外生産比率を約1割引き上げた。2014年にはメキシコの完成車工場を稼働。2015年にはタイにエンジン工場を新設し、車両、エンジン、トランスミッションを一貫生産できるようにした。海外で需要が増えた分を海外で作るという戦略が軌道に乗りつつある。

海外の生産性には改善の余地あり

高需要が続く北米向けのメキシコ新工場は、当初、生産が安定せず稼働率が低かったが、現在は生産能力25万台の85%程度にまで稼働が上がっている。とはいえ「ローコスト生産の実力はまだまだこんなものではない」(小飼社長)と、生産効率は日本並みになっていないことが課題だ。日本から生産技術のエンジニアを引き続き積極投入するほか、部品の納入を受けるサプライヤーとも一緒になって生産性改善に取り組むことにしている。

同社は広島や山口に生産拠点を擁し、雇用や地元に取引先も多いことから、地域経済に大きな影響力を持つ。基本的には、低コストで集中生産を行う国内工場の稼働率をできるだけ高く保ちたい考えだ。その上で需要や為替の変動に応じて、生産拠点間で生産車種を自由に組み換える柔軟性をさらに高める考えだ。

マツダは今、世界的に需要が高まっているクロスオーバーの生産・販売体制の整備を急いでいる。クロスオーバーは乗用車をベースに乗り心地を重視したSUVの一種で、マツダブランドでは「CX」の略称を冠している。

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