隠し扉奥に秘密が!中国偽物市場に潜入する 撲滅されたはずの市場が存在していた

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昔ほど表立ってニセモノを販売することはもうできないが、まだニセモノは撲滅されていない、ということの証だろう。「亜太盛匯」は普通の雑貨や日用品などもたくさん売っているので、「ニセモノ目当て」の客ばかりでもないはずだ。こうしたカモフラージュをすることで、ニセモノはまだ中国で生き続けているということである。

10年後、ニセモノ市場は残っているか

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かつて、ニセモノの製造といえば、福建省、広東省など南方の沿海部が一大生産拠点だった。これらの「産地」には多数の業者が存在し、ニセモノ製造によって生計を成り立たせている人が少なからずいたが、まだその根は根絶されていないということだろう。

結局、中国からニセモノがなくなるには、まだ時間がかかるということを私は痛感した。だが、だからといって絶望的というわけではない。冒頭でも書いた通り、「本物志向」の中国人は北京や上海の富裕層を先頭に、どんどん増えてきている。

彼らを中心に「ニセモノがこんなに存在する国は恥ずかしい」という意識は高まっており、そういう人は当然、ニセモノ市場には足を向けないし、嫌な存在だと思っている。外国人観光客の姿しか見かけなかったのも、そういうことだろう。国民の意識は少しずつ変化しているのだ。

今回、久しぶりにニセモノ市場を訪れたが、かつてより規模が小さくなり、商売の勢いもなくなってきているとも感じた。このまま「ニセモノは悪」という認識が広まっていけば、さらに今から10年後、私が上海を訪れるときには、今度こそニセモノ市場は撲滅できているかもしれない。

中島 恵 ジャーナリスト

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なかじま けい / Kei Nakajima

山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経て、フリ―に。著書に『なぜ中国人は財布を持たないのか』『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(すべて日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『「爆買い後」、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)などがある。

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