人望を得る上司は「正しいおせっかい」を焼く ANA社員の口ぐせは「あれっ、大丈夫?」

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自分に影響が及ぶことでないかぎり、多くの人は「まあいいか」で済ませようとしがちです。企業が大きくなればなるほど、その傾向は高まるでしょう。

「自分の仕事じゃないし、まあいいか」
「相手も大人だし、言うほどのことでもないか」
「なんとなく言いづらい人だから、黙っておこう」

 

あなた自身、過去にこんな場面を経験したことは多いのではないでしょうか?

ANAの社員には、この「まあ、いいか」の発想がありません。どんな小さなことでも、気づいたことを「放置」せず、できるだけ「その瞬間」に伝えます。

気づいたことがあれば、即伝える

飛行機のコックピット(操縦室)には、機長と副操縦士がいます。どちらかが、「あれ、おかしいな」と気づいたことがあれば、たとえ相手が立場的に上の機長に対してでも声をかけます。

飛行中、機長は地上の管制官の指示で高度計をセットします。たとえば高度計が3000フィート(約900メートル)にセットされたときに、副操縦士は、「あれ、キャプテン、管制官は高度4000フィート(約1200メートル)と言っていたと思いますが……もう一度確認しますね」などと声をかけます。

機内のCAの場合も同様。たとえ相手が初めてチームを組む社員であっても、お客様への対応で気づいたことがあれば、お客様から見えない裏側で、「今、お客様にどう声をかけていたの? すごく楽しそうに話していたね」などと確認しています。

整備部門にも、「おせっかい文化」があります。整備部門にはANA以外に5つの整備専門会社があり、それぞれの会社の整備士が一緒に仕事をすることも多くあります。にもかかわらず、かつては整備専門会社の整備士からANAの整備士に対して、なんとなく指摘やアドバイスをしづらい雰囲気がありました。

整備専門会社からANAへの、遠慮や気後れが出てしまっていたのです。そこで、「おせっかいでも一声運動」などのキャンペーンを行ったり、整備士のヘルメットの横に「たかが一声、されど一声」とシールを貼って声をかけ合うことを奨励することになりました。

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