三菱自動車は25年も不正試験を継続していた 「燃費目標引き上げ」も圧力に
同仕様車での目標燃費は11年2月当初1リッター当たり26.4キロだったが、社内会議で「技術的に可能」として5回引き上げられ、最終的に13年2月にはダイハツ工業<7262.T>の「ムーヴ」(29.0キロ)などを意識した29.2キロになったという。4WD(四輪駆動)車などその他3つの仕様車でも本来はあらためて実測すべきデータを、こうした目標燃費に合わせて机上で算出していた。
会見に同席した中尾龍吾副社長は「社員にプレッシャーがかかった」ことが不正の背景にある可能性を指摘。不正が発覚した軽4車種の正しい燃費を「5月の連休明けに提示する」とした。また海外販売車両では燃費データの改ざんは「確認できていない」と述べた。新車開発は継続しているが、燃費の再確認試験を優先するという。
不正の規模と指示の実態はなお不明
不正を公表した20日の会見では、同社は法令と異なる試験方法の開始時期が少なくとも2002年以降としていたが、追加調査でさらに10年以上も長い期間で続いていたことが判明した。一方、性能実験部の元部長がデータ不正を「指示した」との説明については、その後の調査で確認されなかったとして撤回した。誰が指示し、何人の社員が関与していたかなどを引き続き調べる。
初代「eKワゴン」などの開発も手掛けた相川社長は、不正な方法でデータを取り続けていた事実について「全く承知していなかった」と説明。なぜ異なる方法を使い続けたのかについては「社内では長期間疑わず伝承された可能性がある」との見方も示した。
同社長は顧客への補償に関してはまだ確定していないが、燃料費と中古車価格の低下が補償対象として検討されているとした。また、中尾副社長は不正の発覚した車種を供給している日産自動車<7201.T>とも顧客補償に関する協議に入っていることを明らかにした。
(白木真紀、田実直美 編集:北松克朗)
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