ソニーのデジカメ戦略、ミラーレスに勝機探る シェアトップに返り咲き

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ミラーレスに勝機探るソニーのデジカメ戦略

ソニーがデジタルカメラで力の入った攻勢を掛けている。9月には高級コンパクトカメラ「サイバーショットDSC−RX1」を発表。25万円という想定価格が話題をさらった。今回、10月30日に発表したのは、ミラーレス一眼レフ「NEXシリーズ」の新製品だ。

発表したのは2機種で、「NEX−5R」(=写真左=)と「NEX−6」(=写真右=)。いずれも「RX1」と同じ11月16日の発売予定だ。オープン価格だが、ソニーが明らかにしている市場推定価格はNEX−5Rボディが8万円、NEX−6ボディが9万5000円前後。これにより、すでに販売中のエントリー機種「NEX−F3」、最上位機種の「NEX−7」と合わせ、NEXファミリーのラインナップが完成する。

デジタルイメージングマーケティング部の磯村英男統括部長は、30日の会見で「2010年4月にミラーレス一眼を発売し、シェアナンバーワンになった。その後、東日本大震災とタイの洪水で数量不足が続いたが、足元ではふたたびシェアトップに返り咲いている。これから、ナンバーワンポジションを強固にしていきたい」と冒頭に説明した。

既存のミラー一眼レフ(αシリーズ)、コンパクトカメラ(サイバーショットシリーズ)も展開するソニーだが、NEXシリーズをもっとも重要なジャンルと位置づけており、ここでのシェアアップがデジタル・イメージング事業の収益拡大に向けたカギを握る。

「スマホに食われるコンデジ(コンパクトデジカメ)。ではどうする?」というのが今、この業界における旬な話題だ。確かに、キヤノン、ニコンなどのカメラメーカーにとって、スマホは敵だ。それに対し、ソニーはやや複雑だ。ソニーモバイルはスマホ「エクスペリア」を展開している。スマホ躍進により、圧倒的な強みを持つイメージ・センサーの外販も伸びることにもなり、かならずしもスマホは敵ではない。

 「カメラ機能が付いているので、どうしてもいったんはスマホに流れる。これにどう対応するかはすべてのカメラメーカーが腐心しているところだ。しかし、日常的に撮影することを考えると、やはりカメラが必要になる。その場合の魅力をしっかり提案できるかどうかが重要になる」(磯村統括部長)。

平井一夫社長は今年4月、3つのコア事業として、デジタル・イメージング(カメラとイメージ・センサー)、ゲーム機、モバイル機器(スマホとタブレットなど)を掲げている。デジタル・イメージングの躍進へ向けた今年度の武器は出揃った。ライバルであるキヤノン、ニコンもミラーレス一眼での攻勢を誓っており、今年は勝負の年。クリスマス商戦でのシェア攻防に注目が集まる。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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