野村HDに見えてきた最悪局面打開の道筋
野村証券を中核とする野村ホールディングス(HD)の業績が、最悪期を脱しつつある。
野村HD(米国会計基準)が10月29日に発表した第2四半期累計(2012年4~9月)決算は、営業収益が7709億円と前年同期比22%増えた。前年同期に大幅赤字だった税前利益は551億円と黒字化を達成し、当期純利益も47億円の黒字に回復した。
税前利益に比べて、当期純利益が大きく下回ったのは、海外部門の赤字基調のなかで実質的に課税率が高くなっているためだ。
特筆できるのは、第1四半期(12年4~6月期)には86億円の税前損失だったホールセール部門が第2四半期(同7~9月期)は2億円と、わずかながら黒字に回復したことだ。同グループは現在、グローバルベースで10億ドルのコスト削減に挑んでおり、9月末時点において、その27%のリストラ、コスト削減を実施した。これを受けて、リストラの一時的費用がホールセール部門には60億円規模で発生したが、それを穴埋めして黒字化したことになる。
一方、収益上の主柱である国内営業部門は営業収益が前年同期比4%減の808億円、税前利益は2%増の110億円にとどまった。厳しい営業環境の結果と言えばそれまでだが、むしろ、この状況には安心感がある。「海外部門が厳しい中で、国内営業部門に収益上のバイアスが過剰に加わる」という、野村グループを巡って懸念されてきたリーガルリスク・シナリオを想起させないからだ。