西村さんは埼玉県出身。子供の頃に両親から虐待を受けて、中学生になってグレました。物心がついた頃から、父親に毎日ように殴られていたようです。14歳でシンナーに手を染めて、15歳で覚醒剤を覚えて薬物中毒になってしまいました。21歳のとき、見かねた親に通報されて矯正施設に入所します。現在、両親には勘当されています。
10代の頃はスレンダーでモデルのような風貌でしたが、覚醒剤を止めて施設で暮らすうちに30キロ以上も太ってしまったようです。体型は風俗嬢の生命線です。いくら風俗店をまわっても断られて、現在勤務している激安店でようやく採用されました。
毎日カラダを売って月収15万円
「10代のときにキャバクラで働いていた頃、月80万円くらい稼いでいた。あの頃は簡単に稼げたから、すぐに使っちゃた。クスリにもお金がかかったしね。今は太ったから、どうにもならない。稼ぎは、毎日働いても月15万円くらい。貯金なんてしようがない、食べ物を買ったらなくなっちゃうから」
西村さんが働く格安デリヘルは、60分7000円という価格でした。1人お客がついて4000円にしかなりません。朝から深夜まで待機所にいても、1日つくお客は1人か2人。日給は4000円か8000円しかありません。西村さんは3食コンビニ弁当を食べて、タバコも吸う。膨大な待機時間があり、タバコは1日2箱をあけてしまう。現在の収入では、この生活から抜け出すのは現実的に不可能といえます。
「太っているので、激安店以外は無理。どこの店に行っても収入は変わらないかな。普通の仕事に就こうにも、そんな経験ないから、どうすればいいのかわからないし。こんな収入では部屋を借りるために必要なお金なんて貯まりようがないでしょ。マジ、絶望的だよね。覚醒剤はやめられても、なにもない。これからの人生どうしていいかわからない」
格安デリヘルは、容姿も学歴もキャリアも、なにも持たない女性の最後の砦となっています。昔から西村さんのような「なにも持たない」女性はたくさんいました。1990年代の店舗型の時代は、風俗で働く覚悟をして店舗に住み込めば、フリー客などがついて月収30万~50万円にはなっていました。2カ月間も住み込みで風俗嬢をすれば、お金は貯まり、部屋を借りて新しい再出発ができたのです。
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