では実際に性風俗から弾かれた女性たちが、いかに厳しい状況になっているかを見てみましょう。
「薬物関係の施設に3年半いた。私がやっちゃったのはシャブ。クスリを抜いて立ち直る施設ですね。そこを出たのが半年くらい前、それからずっとここに住んでいるよ」
あきれ顔でそう語るのは、都内の格安デリヘル嬢である西村麗美さん(仮名25歳)。きれいな顔立ちで25歳と年齢は若いが、体型に難があり、かなり太っていました。西村さんには助けてくれる家族も知り合いもいなく、デリヘルの待機所に半年間以上も住んでいる状態でした。所持金は常に3000円~2万円程度で「貯金して部屋を借りるなんて無理、夢みたいな話」と溜息をつきます。
2000円渡されて「じゃあ、さようなら」
「薬物関係の施設はタバコも吸えないし、酒も飲めないし、嫌になって自分から出たいって出所した。施設の人に車で新宿まで送ってもらって、2000円だけ持たされて『じゃあ、さようなら』みたいな。自主退所者はとりあえず県外に出すって決まりがあるみたいで、私の場合は新宿のバスターミナルに置いて行かれた。それから行政が運営する女性用のシェルターに2週間くらいお世話になって、担当者に『お金もないし、家族もいない』って言ったら、施設に戻れって言われた。
規則だらけの施設に戻るのは絶対に嫌だったので、仕方ないので風俗の仕事を探した。昔はすごく痩せていたけど、太っちゃったでしょ。風俗はいろいろ面接に行ったけど、何軒も断られて、やっと見つかったのがココ。家がないのは、マジでツライ。絨毯の上で眠るから、カラダが疲れる。疲れが全然とれない。布団が薄いのしかないから床が硬くて、腰が痛い。布団は欲しいけど、買うお金もないし。このままでは不味いと思うけど、疲れてカラダがダルいし、あまりやる気が起こらなくて、ダラダラと風俗しながらここにいる」
ホームレスで現金2000円しかなかったら、生存するためにはすぐ日銭を稼げる仕事に就くしかありません。毎月月収が支払われる一般的な仕事では明日、明後日が乗り切れないので、必然的に風俗に流れることになります。デリヘルは積極的にホームレスの女性を囲っているわけではなく、お金も家もない風俗嬢に対して、仕方なく待機所に宿泊することを許可していました。店側は行政や警察に事情を話して「宿泊させることは仕方ない」と、口頭で許可をもらっているようでした。
店側は待機所を提供するだけであり、布団もなければ食事もありません。男性客をとって自分で稼ぎ、自分で買わなければなりません。待機所で生活をする西村さんは、とりあえず毎朝デリヘルには出勤します。
朝起きて10時には事務所に顔を出し、待機所で男性客を待ちます。指名やフリー客が入れば、徒歩圏にある指定された近くのラブホテルへ行ってサービスを提供します。待機所に誰もいなくなって、自分の時間が持てるのは深夜23時ごろです。気が休まる時間はありません。
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