ネット銀に押される地銀をISIDが支援
ISID(電通国際情報サービス)は10月19日、グループの電通イーマーケティングワンと共同で、地域金融機関のインターネットチャネル強化を目的としたウェブサイト戦略コンサルティングサービスを今月から開始すると発表。今年4月からパイロット導入した広島銀行での成果を披露した。
ISIDでは、インターネットバンキングなど金融機関向けシステム構築を数多く手掛けてきたが、今後は入り口のウェブサイト、特に導線設計の改善などを提案していく。
電子商取引が一般化するなかで、金融業界でも若者中心に「店舗離れ」が進んでおり、ネット専業銀行のシェアが拡大している。既存の顧客層を維持するためにも、ネットチャネルの強化は大きな課題となっている。
同社が手掛けた先行事例となった広島銀行では、4月にウェブサイトをリニューアルして以来、トップページのみ閲覧して抜けてしまう「離脱率」が半減。サイト内回遊が進んだことで、1訪問あたりの閲覧ページ数は2倍以上に増加したという。
「機能性・使いやすさ」「商品・サービス情報の充実度」で評価するモーニングスターの「Gomez地方銀行サイトランキング」(12年9月公表)では、広島銀行が昨年の16位から急伸し、千葉銀行に次ぐ2位となった。
成功に導いた仕掛けは、「店舗と同様のおもてなしを演出する“バーチャル店舗”」というコンセプト。「行員ナビゲータ」によるサイト案内で目的の情報に導く仕組みをつくった。季節ごとに背景を変えるなどしたうえで、ボタンの配置を含めて直感的に理解、操作しやすいサイト設計を狙った(上写真は広島銀行の例)。
また、銀行と利用者の心的距離を近づける参加型コンテンツも用意。さまざまなテーマを毎月設定して利用者に投票してもらい、すぐに結果が見えるコーナーも人気化したという。
地方銀行の場合、従来は店舗のある地域のみがテリトリーとなり棲み分けられていた。ただ、ネットの普及により、地域ごとの境界はこれまで以上に薄くなる。金融機関の側でも、リアルな店舗に加え、コールセンター、ウェブサイト、メールなどをダイレクトチャネルと位置づけ、強化する姿勢が強い。ISIDでは、このウェブサイト戦略コンサルティング分野を、システムとコミュニケーション両面で強化していく構えだ。
(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)
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