KDDI電磁波裁判、退けられた住民の訴え 「健康被害」の存在は認定

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民主的な建設手法が必要

携帯電話基地局は今後もスマートフォン普及で増大するデータ通信量に対応するためや、圏外地域の解消のための建設ラッシュが続く。建設の際には制度上、住民の許可は必要ない。現状では地権者や限られた住民だけに告知しただけで建設されることが常だ。

総務省は住民向け説明会を推奨しているが、住民側が要望しないと広範囲の住民を対象にした説明会は行われないケースが多い。しかし安全性が検証されていない以上、健康へのリスクを開示したうえで周辺住民の合意を得て建設をするのが筋だ。

そもそも、携帯電話会社は「現時点では健康障害はないという認識。今後、WHOの最終的なリスク評価に色々なものがでてくればしかるべきコントロールを加えて、必要であればそれに沿った対応をしていく」(KDDIの田中孝司社長)として限定的な安全性しか保障できていない。これまでは業界団体主体による限定的な研究が主軸だったが、基地局周辺住民の疫学調査など本格的な対応を主体的に行う必要がある。

映画や音楽など娯楽向けのサービスの利用増加も一因となって通信量が増大するなかで「公共性」という錦の御旗に基地局数を増加させることがどこまで通用するかにも疑問符が付く。利便性の向上にひた走ってきた通信業界だが、いまいちど事業の進め方を見直すときが来ている。

(麻田 真衣 =東洋経済オンライン)

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